カレールウ割らない説が勃発、本当なの!? エスビー食品に聞いた「溶かす最適温度は65度です」

竹内 章 竹内 章

カレールウは小さく割らずに大きいまま入れるとすぐに溶けるー。ツイッターで勃発したライフハックの新説が話題です。えっ、でもルウの箱には割って入れるよう書いてあるし、メーカーのサイトでも同じことが記されています。割るべきか、割らざるべきか…。カレールウの3大メーカーのひとつ、エスビー食品(東京都)に聞きました。 

拡散の発信源とみられるのは、「ツイッターで見た「カレールウは小さく割らずに大きいまま入れるとすぐに溶ける」っていうのをやってみたら本当だった。凄い!わたしは今まで何をやっていたんだか…」という投稿。「理系なのでやはり理由を知りたい」「刻んでたのなんだったんだ」などと驚きの声とともに、「これ試してみたけど本当だった。わたしも今まで何をやっていたんだか…」と実践したとみられるコメントも。4000以上リツイートされ、9000近いいいねが付いています。 

一方、大手メーカーのルウ箱裏には、作り方の手順が書かれており、「火を止める ルウを割り入れて溶かす」と明記されています。ルウにも「割ってください」と言わんばかりの切り込みもあります。エスビー食品に尋ねました。

―カレールウ割らない説が話題ですが、「割る」推奨派としては

「当社ではその知見はありません。一般的には割らずに入れると中まで溶けるのに時間がかかります」

―この話題をめぐっては、「カレールウはあまりに温度が高いと表面に幕を張って溶けにくくなる」というコメントもありました

「カレールウが溶ける仕組みについて補足いたしますと、温度が上昇し固形油脂が液体となることが、ルウが溶けるという状態です。具材を煮込んだあとの鍋に加えると、固形ルウは周囲から溶け始め、油脂、小麦粉、調味料が煮汁に溶け出します。しかしこの時点ではルウの中心部はまだ冷たいので固体のままです。そしてこの時沸騰した煮汁だと別の反応も同時に起きます」

―…化学の授業みたいです

「ルウの小麦粉が溶けるそばから、沸騰している煮汁の熱で糊化しトロミを持つようになります。そしてこの糊化した小麦粉が、まだ溶けていなかったルウの固形油脂の周囲にくっつき始めます。それによって、まだ固形のままのルウの中心に温度が伝わりにくくなるので、残った部分が溶けにくくなります。溶けたものも周囲を小麦粉の糊(トロミ)がブロックするため周囲の煮汁に溶け出しにくくなります。このようにして残った塊がカレールウのダマです」

―ダマカレーを作ったことがあります

「油脂が溶け出す温度以上で、かつ小麦粉が糊化する温度より低い煮汁でルウを溶かしていただくことが大切です。これが「いったん火を止め、ルウを割入れ溶かす」ということです。中心部まで温度を伝えて固形油脂を溶かすためには、ルウは大きなままよりも割り入れることをおすすめします。最適な温度は65度くらいです」

―スムーズに溶かすためのコツはありますか。「時間がない場合は、(後から足す分の水を減らして煮込み)水を足して温度を下げる」は有効ですか

「商品裏面に記載通りにお作りいただくのが簡単においしく召し上がっていただく方法ですが補足をいたしますと(1) 火を止めて粗熱を取ってからルウを加える。(鍋の大きさなどにもよるので時間の目安は特にお示しておりません。)(2)火を止めた後、濡れ布巾の上に鍋を置き少し冷ましても良い(3)ルウを加える時、鍋の中で具材を片側に寄せる。煮汁のみの所にルウを加えたほうが溶けやすい。(溶けた後に混ぜやすい)(4)混ぜるときはお玉ではなく木べらがおすすめです。鍋底に当てて混ぜるようにするとじゃがいもが崩れませんーがあります。質問にある水の投入を分けることで温度を下げる方法については、味がブレやすくなるためおすすめしておりません」

 なるほどカギは煮汁の温度にあるようです。ちなみに、「ルーは包丁で砕いて粉にしていた」というユーザーもいましたが、風味に変化はないそうです。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース