「高級なのに108円。特売だと80円ぐらいのときもある。高級の理由が知りたいです」
読者から「まいどなニュース」編集部にこんなメールが届きました。添付された写真に写るのはスーパーの菓子パン売り場。「高級つぶあん」や「高級ジャムパン」など、ヤマザキの高級シリーズが並んでいます。パッケージに鎮座する黄金色の帯と高級の文字は、威厳や風格すら感じさせます。お手頃価格なのに高級をうたう理由をメーカーに聞きました。
定番商品をグレード&ボリュームアップ
高級シリーズを製造販売する「山崎製パン」(東京都千代田区)の担当者によると、高級シリーズが誕生したのは1990年。「定番商品の『あんぱん』『クリームパン』『ジャムパン』の餡やクリームをグレードアップし、生地もボリュームアップさせた商品として発売しました」。
わざわざ「高級」と銘打った理由は何だったのでしょうか。
「『高級つぶあん』は、じっくり炊き上げた栗粒入りのつぶあんを包んでいます。『高級クリームパン』は、十勝産牛乳入りのなめらかなでコクのあるクリームを包んでいます。『高級ジャムパン』は、すっきりとした甘さの果肉入り苺ジャムを包んでいます」
素材への並々ならぬこだわりが高級の所以なんですね。ちなみに参考価格は「高級つぶあん」121円、「あんぱん」102円(いずれも税抜き)とのことでした。
消費者庁「同種の商品に比べ優れていれば」
消費者庁では、商品名に「特選」や「極上」など高級感を示す表示をする際の基準について、次のように見解を示しています。
「商品に使用されている原材料の品質、製造方法が同種の商品に比べて優れている等、一定の優良性を一般消費者に認識させるものと考えられます。特選等の表示は、商品の優良性を示す客観的な根拠に基づいた表示である必要があります」(消費者庁ホームページ「表示に関するQ&A」より)
「高級つぶあん」好きだったあの人を思い…
高級シリーズのSNSでの評判を調べていると、特に「高級つぶあん」に関する投稿が目立ちました。「つぶあんパンでは1番好き」「カロリーちょうどいい」「高級なのに庶民的お値段」「安定のおいしさ」「高級という言葉に弱くて買った」など。朝食やランチに食べる人や、流行のホットサンドメーカーでバターと一緒に焼く上級者もいました。
予想外だったのが、故人をしのびながら食べる人が多いこと。
「おじいちゃんが好きだった」「父の大好物でした」「お父さんを思い出しながら」「近所の人が『お父さん好きだったでしょ』とお供えに持ってきてくれた」など。中にはお供え物のお下がりの高級つぶあんを写真にアップする人もいて、投稿者さんたちのご家族への思いにほろりとさせられました。発売30年超の定番菓子パンには、年月の分だけたくさんのドラマがあるんですね。