「慣らし保育」スタートの4月「どうか振り返らずサッと退出を」 頑張る親子へアドバイスした保育士さんに思いを聞いた

太田 真弓 太田 真弓

4月に入り、お子さんが保育施設に慣れるよう段階的に保育時間を延ばし生活リズムを作っていく「慣らし保育」が本格的にスタートしています。そんななか、ある連続ツイートが大きな反響を呼んでいます。ツイートした保育士のあぴさん(@api_f33)にお話をお伺いしました。

「本格的に『慣らし保育』が始まるみなさんへ。大きな泣き声で後ろ髪をひかれますよね。でも、どうか子どもを預けたら、振り返らずサッと退出してください。何度も振り返られると、戻ってくれるのかと期待。悲しそうな顔されると、園が怖いところだと思って、さらに大泣き。いまから、戦うみなさんに届け」

「想いをコトバに出来ない子どもたちにとって『泣く』しか表現方法がないの。だから、この世の終わりみたいな大きな声で泣いたり、全力で暴れたりする。見てるだけでかなりツラいですよね。でも、負けちゃダメです。ココロを鬼にして「いってきます!お願いします!」と明るい声と笑顔で送り出してあげて」

あぴさんは経歴10年を超えるベテランの保育士。今年度、担任は持たず、フリー保育士として各クラスをフォローしながら、子どもたちにとって大切な環境を整えているそう。かわいい子どもたちにまつわる心温まる話や、保育の現場での挑戦・失敗エピソードなどをあれこれ発信しています。

「金曜から慣らし保育始まりました!今日から徐々に時間が増えていくのでどうなるかと不安ですが、保育士の方を信じて託してきます」
「気持ちをグッと押さえていけば“親子共に”大きく成長できますよね!」
「慣らし保育のすべてが凝縮してますね」
「ありがとうございます。アドバイス通りに出来ました!」
「離れる時は泣きましたが頑張って泣かず過ごしてくれたようです」
「親御さんも自分の感情と向き合って頑張っていらっしゃるんですね」
「あの頃の記憶がうっすら残っています」
「プロを信じるのみ。ありがとうございます」
「こどももしっかりと見てるんだね」

ツイートには、現在慣らし保育真っ最中の親御さんからのリプや経験談が並びます。

あぴさんにお話を伺いました。

――なぜこのようなツイートを?

昨年、一昨年と2年連続で1歳児の担任をしておりました。わたしの勤めている園は0歳児クラスがないため、1歳児が慣らし保育スタートです。

寂しそうに手を振る保護者の方、「うちの子、園で笑ってますか?」と心配そうにしている保護者の方、何度も「ごめんねぇ」と言いながら預けたりお迎えにくる保護者の方もいらっしゃいました。

直接お話をしたり、連絡帳や写真を載せたりして、少しでも安心してもらえるように工夫していたことを思い出し、昨年の夏頃から発信者としてTwitterを始めていたので、「SNSで少しでも不安に思っている方に届けられたら嬉しいな」と思いツイートしてみました。

――実際、泣きながらバイバイした後はどのような対応を?

今の勤めている園では、抱っこをしながらたくさん話しかけます。何が好きなのかは子どもたちによって個人差がありわからないからです。

またその時の気分によって気を引くものも変わります。昨日はアンパンマンの人形で泣き止んだのに、今日は嫌がったり。「見て、ちょうちょがいるよ」と気を逸らせて歌を歌ったり、「車やお人形さんもあるんだよ」とおもちゃに目を向けるように誘導してみたりして、あの手この手で工夫します。

1歳児クラスは、言葉の理解をしている子も多いので、優しくたくさん話しかけて、子どもの「好き」や「興味」を引き出していました。

初めて勤めた園(0歳児クラスがある園)では、バイバイをすると悲しくなるので、おもちゃで遊び始めた瞬間に「お母さん、今です!行ってください!」と声をかけていました。その園では、子どもたちの興味をそそるようにおもちゃを魅力的に棚に並べたり、楽しく遊べるようにコーナーを作ったり、環境整備を徹底していました。

――お子さんたちはどのくらいの期間で慣れていくのでしょうか?

慣らし保育で、すぐに遊びや給食に慣れる子もいれば、なかなか安心できずお昼寝できない子、登園だけひと泣きするけどあとは元気よく過ごす子…それぞれですね。

やはり、保護者の方が職場復帰されると、子どもたちも察して頑張っているように感じます。あとは、なんとか4月を乗り越えても楽しいGWがあるので振り出しに戻っちゃう子もいます。

お出迎えは満面の笑み&ハグでたくさん褒めて

――降園時や帰宅後、おススメの接し方などありますか?

初めての「集団生活」をがんばった子どもたち。お出迎えは、“満面の笑みでのハグ”が一番です!先生から園での様子を口頭で聞くと思うのですが、褒め言葉はその場で大袈裟に褒めてあげてほしいです。そして、お家に帰ったら、たくさん甘やかしていいと思います。「ご褒美にアレ買って」は良くないのですが…。

「抱っこ!」「遊んで!」「これ読んで!」と絵本を持ってきた時は、たくさん要求に応えてあげてほしいです。また、保育園で褒められたことは、ぜひ家族間でシェアしてください。子どもの前でシェアしてその場でも褒める…そうすると「その場で先生に・お迎え時に・お家」と同じことで3回も褒められ、子どもの自己肯定感があがるのです。

――今回のツイートに多くの反響が寄せられました。

本当に多くの方に届けられて嬉しいです。リプや引用リツイートで経験を語ってくださった方もたくさんいらっしゃいました。みなさんの思いが深く込められていてどれも印象的でした。「慣らし保育」がスタートした方々に保育士目線と、保護者目線の両方の観点からお届けできて、ありがたく嬉しい限りです。

――あぴさんから親御さんたちへ向けてメッセージをお願いします。

1人で抱え込まないでほしいです。不安だらけかと思います。保育園の先生、職場の先輩ママさんなどに相談してみてください。もし、まだ深い話をするのに時間がかかりそうなら、ぜひSNSを活用してほしいです。同じ悩みを抱えている人、悩みを卒業した先輩、保育士など、たくさんの方が利用しているので、きっと文章を読むだけでも心が軽くなると思います。

安心してください。離れるのに寂しくて泣いているのは、今までたくさんの愛情を注いできた証です。預けるのは可哀想なことではなく、新しい世界への第一歩なのです。

◇     ◇

久しぶりの職場復帰にバタバタのなか子どもを預ける方、初めてお預かりをお願いする方…様々な背景のもと沢山の親子が「慣らし保育」という新たな環境からスタートされているのではないか思います。あぴさんからのメッセージ、とても心強いし励みになりますね。

たくさんのハグやスキンシップと褒め言葉で、親子でのふれあい時間が翌日のスムーズなお預かりへと繋がっていきますように。

■あぴさんTwitter https://twitter.com/api_f33

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