マラソン大会の練習に励む6歳娘、でも当日2度も転んでしまい…ところが「最後まで走れた!スゴイでしょ」とママに笑顔「大切なのは順位じゃない」

太田 浩子 太田 浩子

 事前に練習を重ねてマラソン大会に挑んだ幼稚園児が、日頃忘れがちな大切なことを思い出させてくれたという漫画が感動を呼んでいます。心が動いた日常を漫画に残す作者に、お話を聞きました。

「もっと速くなりたい!」

 話題になったのは、漫画家・イラストレーターの「グラハム子@オバサンジャー(@gura_hamuco)」さんが投稿した「マラソン大会の話」という漫画です。

 場面は、もうすぐマラソン大会がおこなわれるというある日、幼稚園の帰り道から始まります。

 年長さんのちっちちゃんは、マラソン大会の練習で17位だったことをお母さんであるグラハム子さんに報告します。その日から「もっと速くなりたいから、走って帰る!」と、毎日練習に取り組みました。するとどんどん順位が上がり、10位になります。グラハム子さんは、ひょっとしたら本番も期待できるかも…と楽しみにしていました。

 そして、いよいよマラソン大会当日を迎えます。

 グラハム子さんが見守る中、ピストルの「パンッ」の合図で走り出す子どもたち。するといきなり、ちっちちゃんが転んでしまいました。でも、ちっちちゃんはすぐに起き上がって、スペースのある外側からほかの園児を抜かそうと走り出します。

 あぁ!今度は外にふくらんで走っていたため、金網の塀を避け切れずにぶつかってうしろに転んでしまいました。

 グラハム子さんは、もうハラハラしっぱなしです。「ちっちー がんばれぇー!」と大きく声をかけました。ちっちちゃんは、また起き上がって走りだします。

 グラハム子さんはその姿を見ながら「立ち上がってエライよ!…けど もうこれは上位はムリだ…」「頑張って練習してたからショックだろうな…ゴールしたら、いっぱいほめてあげなきゃだね!」と、ちっちちゃんの気持ちを考えてちょっぴり悲しい気持ちになっていました。

 ところが。

 ゴールしたちっちちゃんは、満面の笑みで「母ちゃ〜ん、見てたあぁ??」「ちっち2回も転んだのに、最後まで走れた!すごいでしょ〜」と大満足な様子。順位を気にしていたのはグラハム子さんで、ちっちちゃんはちっとも落ち込んでいなかったのです。思わずちっちちゃんに抱きついて、がんばったことをいっぱいほめるグラハム子さん。ちっちちゃんを愛おしく思う気持ちが、たくさんのハートとともに描かれました。

純粋に自分の頑張りを喜べる感情は、きっと心の支えになる

「娘が満足している様子を見て嬉しかったし、この子は強いな、この感情を忘れずに育ってほしいなと思いました。」

 ちっちちゃんと小学生の息子さんを育てるお母さんであるグラハム子さんは話します。

「子どもって、小さいうちは今回の娘のように『純粋に頑張ったことを喜べる』んですよね。それが成長するにつれ、『頑張ったけど順位が悪かったらから喜べない』『周りと比べると劣っているからから自分はダメだ』など、相対評価で生きるようになってしまいます。それは悪いことではなくて、社会の中で生きる上である程度は必要なことなのかもしれません。ただ、親としては、今のこの純粋に自分の頑張りを喜べる感情を、いつまでも娘の心のどこかに残してあげたいと思いました。そうすればきっと、この先の心の支えになると思います。」

「子無し独身だけどグッときました…できたことに着目できるって簡単じゃないと思うから、すごいよ~泣」
「大人でも失敗した時切り替えられないのにちゃんと自分を認めていてすごい🥲」
「朝から泣いちゃいました 娘ちゃんすごい!!」
「とっ…ても感動しました😭」
「すごいなぁ。子どもに教えてもらうことがたくさんあるなぁ。」
「生きる上でのモチベを幼児に教えられた」

 この漫画に感動して泣いたというコメントが集まり、2.8万を超えるいいねがついています。

作者に娘ちゃんのことを詳しく聞きました

──マラソン大会は、去年の12月だったのですね。

 そうなんです。12月はちょっと仕事が忙しくて、趣味の漫画まで手が回らなかったのですが、やっぱりこの出来事は漫画に残したいなあと思いまして。今月になり落ち着いたのでやっと描けました。日常で心が動いた出来事は描きたくなるんです。

──私も漫画を読んで、子どもに対して順位のような結果ばかり見ていることに気がついて…そして純粋なちっちちゃんが眩しくてちょっと泣いてしまいました。走り切ったちっちちゃんの顔を見るまでは、どう話そうと思われていたのですか?

 てっきり落ち込んでいるだろうな…と思っていたので、『転んだのに立ち上がって最後まで走れて立派だったね。素晴らしいことだよ。母ちゃんの誇りだよ』なんて考えていました。

──ちっちちゃんは、最初からマラソンに前向きだったのでしょうか?

 それが、年少・年中の時はそんなに前向きじゃなかったんです。年長になり前向きになりました。きっとこの幼稚園の間に縄跳びや鉄棒などの「練習すればできるようになる」体験を重ね、チャレンジすることに前向きになれたのかもしれません。

──幼稚園で素晴らしい体験をしてきたのですね。マラソン大会を終えて、ちっちちゃんに変化を感じることはありますか?

 それが、とくに変化はないんです(笑)。とにかくマイペースな娘なので…自分がやりたいことは一生懸命やるし、逆にやりたくないことはホントにやりません。幼稚園でも、体操と図工は積極的だけど、英語と「もじかず」はやる気がないようです、と先生に言われました(泣)。

──やりたくないことをするのは、まだ年齢的にも難しいですよね。頑張り屋さんのところはあるのでしょうか。

 頑張り屋だとは思います。つい最近もブレイブボード(今子どもたちの間で流行っているスケボーのようなもの)を練習して乗れるようになりました。4月から小学生になるので、自分のやりたくないことをやらないといけない場面も今まで以上に出てくることでしょう。勉強ももちろんですが、それ以外の生き方や考え方も、たくさん学んできてほしいと思っています。

■グラハム子さんの書籍
「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」(Amazon) https://www.amazon.co.jp/dp/4046810068/
「美淑女戦隊 オバサンジャー 困った姑・夫を浄化する!?」(Amazon) https://www.amazon.co.jp/dp/4046808535/

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