飼い主さんよりも早く老いていく猫ちゃんたち シニア猫との生活で気をつけたいポイント

獣医師 長谷川 諒

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可愛らしい愛猫との日々、その中でどうしても猫ちゃんは人間よりも早いスピードで年老いていきます。歳をとり、老いると筋力など身体の機能が低下し、若い時のように思い通り動けないことも。そんなシニア猫との生活で気をつけるべきポイントを4つに分けて解説します。

段差に気をつけよう

シニア期になると筋力の低下や関節炎からの痛みなどが原因でジャンプや上下運動が難しくなり、今まで登れていた段差を越えられなくなってきます。そういった状態でも日々の生活を痛みが少なく、安全に過ごすことができるように生活環境を工夫してあげましょう。例えば、段差にスロープを設置してあげる、もしくは登らなくても生活できるようにフードや水飲みなど必要なものは全て床に置くなどのサポートを考えます。

“今まで”と違うトイレ事情

トイレについても同様に、入り口の段差を越えることが難しくなることが増え、粗相をしてしまう原因にもなります。入り口の縁が低いものに変えるなどの工夫に加え、トイレまでの移動が億劫になるのでトイレの数を増やす、よく寝ている場所から近いところに設置してあげるなどの工夫も考えてあげましょう。

また老化や病気などで身体が次第に弱ってくると粗相をしてしまうことも増えてきます。猫ちゃんは本当に亡くなる少し前まで自分でトイレに行って排泄をしたがることが多いので、トイレの周りにペットシーツを敷き詰めだけではなく、トイレに行きたがっている様子があれば飼い主さんが支えて連れて行ってあげるなどの手助けをしてあげましょう。

お留守番は安全な場所で

飼い主さんがお出かけをする際に猫ちゃんが一人でお留守番することもありますよね。そんな時に段差から落ちてしまったり、どこかに挟まって身動きがとれなくなってしまうと危険です。そんな時はケージやサークルを使って移動できる範囲を制限してあげましょう。閉じ込めるようでかわいそうという意見もありますが、留守中に何か事故があってからでは取り返しがつきません。

食べが悪い原因はそのお皿かも

今までは床に置いたお皿からでも上手に食べていた猫ちゃんでも、シニア期になるとその姿勢で嚥下(食べ物を飲みこむこと)をしたり、頭を下げて食べる姿勢自体が難しくなります。お皿を台に載せて少し高さを出してあげる、お皿と台座が一体型になったものに替えてあげるなど深くかがまなくても食べることができる工夫をしてあげましょう。また、水飲みのお皿も低いままだと水を飲むことが億劫になり、脱水傾向になりやすいので同様に台などを使って高さを出してあげましょう。

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猫の寿命は約15歳と言われており、同じように生活をしていても人間より早く老化していきます。シニア期になっても過ごしやすいようにしてあげるための工夫はさまざまありますので、若い頃と同じようにはいかないことを意識して実践してあげましょう。

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◆長谷川 諒(はせがわ りょう)京都府京都市出身。1992年生まれ。北里大学獣医学科卒。Ani-vet代表、ヤマザキ動物専門学校講師、保護施設専門往診病院「レイクタウンねこ診療所」院長。首都圏(東京都・埼玉県)を中心に動物病院での診察も行う。保護猫活動を支援する傍ら、現役獣医師によるメディア媒体での知識の啓蒙に取り組んでいる。愛猫ちゃんのためのお役立ちビデオ講座『ネコデミー』でも講師を務める。

【Ani-vet 代表】
https://www.ani-vet.com

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