左上には「出雲大社平成の大遷宮記念」の文字が入り、2013年に60年に一度の出雲大社大遷宮を記念して発売されたことが分かる。大黒さんが打ち出の小づちを笑顔で振っている姿が描かれていて何とも愛らしい。白い雲は、いかにも神話の里であることをほうふつさせる雰囲気を醸し出している。掛け紙を取ってまずは目で楽しむ。シジミが砂地にもぐった様子を表した出雲地方の郷土料理「シジミのもぐり寿司」の上に紅ズワイガニ、焼きサバのほぐし身、シジミのしぐれ煮がのっている。彩を添える絹さや、黒豆、小豆、金針菜(ユリの花)、塩漬けショウガ、錦糸卵が盛り付けられ、きれいなお花畑のような仕上がりだ。
◇ ◇
小さなシジミが酢飯の中に潜っていて、それだけで体に優しい感じ。焼きサバのほぐし身の中にもシジミが隠れていて分からないくらいに同化し、サバだけで食べさせない工夫がある。
紅ズワイガニは細かなほぐし身で、薄い酢で締めたご飯より少しだけ濃い酢締めで日本海の冬の味覚を主張してくる。
黒豆、小豆はほんのりとした甘みがあり、サバの塩味を加え色々な味が口の中を駆け巡る。
全体に少量敷かれた錦糸卵も忘れてはならない間違いない色と味で、繊維たっぷりの金針菜と塩漬けショウガがいい箸休めとなっている。
シジミが数百個も入ってるようで、魚、貝、カニと海の幸が満載の駅弁だ。
1220円。山陰本線・松江駅「一文字家」TEL0852・22・3755