パッケージは重厚な古書のような感じで、米吾謹製の文字が入り、江戸時代にタイムスリップしたかのようだ。箱に入った弁当を取り出してふたを取ると、透明のセロハン越しにカニのほぐし身と棒肉が一面に広がる。その下には黄色い錦糸卵が敷かれ温かみのある色彩に心が躍る。酢の香りが鼻奥をくすぐり、ご飯のつややかさも目を引く。ササの葉の形をした緑のバランの上に奈良漬が2切れ。別枠には昆布が控えている。日本一のカニの水揚げ量を誇る境港を中心に、日本海沿岸各地のベニズワイガニが素材。山陰ならではの「よりおいしく」「より新鮮に」「より美しく」の調製で提供される名物を味わってみた。
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箸をつけると薄い酢飯にのったカニの棒肉、ほぐし身、錦糸卵が一緒に口に入る。「かにずし」と名のつく数ある駅弁と同様に王道からそれることなく真っすぐ突き進み、伝統を継承した間違いないカニちらしに仕上がっている。
箸休めの塩昆布は細く刻んであって長過ぎず、相性が抜群だ。
奈良漬はサクサクと歯応えが良く、ほんのりアルコール感が味わえる。
いくらでも食べられる感じで実にうまい。
かにずしは見た目も味もシンプルが一番だ。
1350円。山陰本線・米子駅「㈱米吾」☎0859261511