島根県を代表する湖として真っ先に浮かぶ宍道湖。そこで取れるシジミは有名で、松江が舞台でもあるNHKの朝ドラ「ばけばけ」の食卓にも毎日のように、しじみ汁が登場して場をほっこりさせている。島根県に旅行すると必ず朝の味噌汁に入っているほどの名物だ。以前シジミとカニ、サバなどとの抱き合わせの駅弁は食べたことがあるが、単体では最小クラスの食材であるシジミがメインを張るのは初めてだと思う。掛け紙にはシジミが20個描かれて至ってシンプル。中身の見えたシジミが2個と、右上には、ささやかに山陰名物の文字がうたわれていて、シジミしか入っていないのかと思うほどだ。7月12日に新発売という新作駅弁を味わってみた。
掛け紙を外しふたを取ると弁当の約6割の面積をシジミが占め、数百個入っているように見える。おかずはひじき煮と緑のインゲン、黄色はショウガと錦糸卵。赤は大根酢漬けと鷹の爪で信号色を彩っている。
小さなシジミの身を取り出すのに手間が掛かっているのを実感しながら、まずはたっぷりのシジミをご飯と一緒に口に運ぶ。薄い酢飯とシジミのしぐれ煮がよく合い、食べ進めるスピードを加速させるようだ。体に優しいシジミの食感が癖になりそうでいくらでも食べられる。
ひじき煮は大豆、ニンジン、油揚げ交じり。大根酢漬けと酢ショウガはシャキシャキと歯応えが良くいい箸休めになっている。
広島のもぐり寿しのように、ご飯の下に具材が隠れてはいないものの、これはこれでおいしい。
食塩相当量も2.7グラム(推定値)と優秀だ。
1170円。山陰本線・松江駅「一文字家」☎0852223755。出雲市駅でも販売中。