「人類は、ウイルスと共存するしかない」 求められる民度の成熟 第6波との向き合い方<後編>

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

コロナ渦は、露呈した様々な非効率を変革していく機会

陽性者・濃厚接触者の健康観察や検査等は、外部に委託すること等により、行政や有資格者には「そこでしかできない仕事」に注力していただく、そして、症状の度合いに応じて対応を分ける等、行政・民間、医療、患者・ご家族、関係するすべての方の協力が大切だと思います。

限られた資源の効率的な活用という点では、例えば、都の自宅療養相談窓口(24時間対応)に電話が殺到し、つながりにくいとのことですが、相談の過半は、食料やパルスオキシメーターの配達に関するものとのことで、「それはネットで申し込めるようにすればいいのでは・・・」と思っていたところ、電話回線を増やすとともに、ネット受付を開始し、電話での対応は医療に関するものに注力する、とのことでした。

第5波のとき、他県で自治体の職員の方が、療養されている住民のご自宅へ食料配達に回っているが、手一杯で大変、という報道がありましたが、「いや、それは業者の方に委託してください・・」ということであり、自分も行政にいたのでよく分かりますが、残念ながら、行政の全体としてのコスト意識の不足や住民の方にできる限り丁寧に対応したいという思いが裏目に出ることが、こういう危機下でさらに露呈していると思います。

陽性・濃厚接触者となった友人知人も多いですが、ネット通信デバイスの普及による連絡形態の変化の影響は大きく、「電話をかける・受ける」ということに抵抗を感じる方も近年増えていると思います。例えばネット上で「無事である」ということを知らせていただき、連絡の無い場合に限って電話をかける、といった方法で、危機管理と人手不足の両方に対応すべきだと思います。

コロナ渦で、我が国のデジタル化の遅れが露呈したと言われますが、それに限らず、医療や介護、行政等の現場で、①「専門性と真心を込めて、『人』が行うべき仕事」と②「AI/DX等で行うべき仕事」を分け、さらに①について、専門性の度合いに応じたタスクシフトを考える等、今回の危機下で変革の必要性が痛感されたことを、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」にせずに、きちんと対応していけるかが、今後、国民の生命・健康・安心を、適時適切に守っていけるか、日本の試金石でもあるのだと思います。

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