「社長の後継ぎが見つからない…」後継者がおらず倒産した企業が過去最多 2021年調査、製造業で割合高く

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みなさんは「後継者難倒産」を知っていますか。「後継者難倒産」とは後継者がいないことや、事業承継の失敗などが主な原因となり、事業の継続見込みが立たなくなったことによって生じる倒産のことです。近年この「後継者難倒産」が増えてきているそうです。

「帝国データバンク」の調査では、2021年に発生した「後継者難倒産」は466件となり、調査を開始した2013年以降で過去最多を更新しました。業種別では製造業(83件、前年比20.3pt増)とサービス業(84件、同33.3pt増)が過去最多、「後継者難倒産率」は製造業が唯一の1割を超えました。

一方で、同年の「後継者不在率」は61.5%(改善幅3.6pt)で、調査を開始した2011年以降最低となりました。また、中小企業M&A仲介大手3社による国内M&A実施件数は、2013年の182社から2020年には760社まで増加。事業承継・引継ぎ支援センターにおける件数も同33件から1379件となり、国内企業のM&A実施件数は増加傾向にあることがわかりました。

2021年における倒産件数は、前年比23.0pt減少の6015件となり、1966年に次いで過去3番目に少ない半世紀ぶりの歴史的低水準を記録しましたが、同年に発生した「後継者難倒産」は466件となり、調査を開始した2013年以降で過去最多を更新しました。直近では3年連続で450件を上回っています。また、全体の倒産件数に占める割合を表す「後継者難倒産率」は7.7%と前年から1.9pt増加しました。

業種別でみると、「製造業」(83件、前年比20.3pt増)と「サービス業」(84件、同33.3pt増)がそれぞれ過去最多となりました。特に「製造業」では、「後継者難倒産率」が12.6%と全業種中で唯一の1割台となりました。また、他業種より後継者不在率が高い「建設業」は106件発生し、件数としては業種中で最も多く、3年連続で増加しています。

「後継者難倒産」が増えている一方で、明るい兆しも見え始めています。同調査では、2021年の後継者不在率は61.5%(改善幅3.6pt)となり、依然として6割台と高水準にあるものの4年連続で低下し、調査を開始した2011年以降で最低となりました。

また、国内企業のM&A実施件数は増加傾向にあり、「(株)日本M&Aセンター」「(株)ストライク」「M&Aキャピタルパートナーズ(株)」の中小企業M&A仲介大手3社による国内M&A実施件数は、2013年の182社から2020年には760社まで増加しています。また、事業承継・引継ぎ支援センターにおける件数も同33件から1379件となり、右肩上がりで増加しています。

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このように同社の調査では、「後継者不在率の低下」や「M&A実施件数の増加」など、官民ともに進めている事業承継に対するアプローチが着実に奏功し始めているなかで、「後継者難倒産は過去最多」という明暗の両面が同時に表れていることがわかりました。

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