シングルマザーが子宮頸がんに…手術後も消えなかった恐怖「子どもたちの成長を見ながら、再発しないことを祈る日々」

長岡 杏果 長岡 杏果

シングルマザーはその肩に、大黒柱として家計を支えることと、家庭を守る2つの役目がのしかかっています。万が一、病気やけがなどになってしまうと、子どもを取りまく環境は一変してしまいます。現在3人の子どもたちと暮らすシングルマザーのあきさん(40代・営業)は、離婚直後に子宮頸がんが見つかりましたが、今は「ガンサバイバー」として暮らしています。

離婚してすぐ発覚した子宮頸がん

あきさんがシングルマザーを選んだ理由は元夫とのすれ違いが原因だったそうです。「家庭内暴力や浮気などの理由もとくになかったのよね。仲が悪くなってしまったわけではなかったし、でも、これから先もずっと一緒に生活していく意味を見出せなくなった」そうです。

離婚当時、子どもたちは小学生1人と保育園児2人。引っ越しや手続きでバタバタしている中、たまたま行ったがん検診で子宮頸がんが発覚したそうです。「3番目を出産してから行ってなかったから、行かなきゃなと思って検診を受けたらまさかの子宮頸がんだったの」と言います。

あきさん自身、「なぜ私が?このタイミングで?」と、なかなか自分が子宮頸がんだという事実を受け止められなかったそうです。しかし、先延ばしにできないのががんの罹患。手術をしなければならない状態だったあきさんは、入院に向けて準備をしたそうです。

あきさんの子宮頸がんは上皮内がんだったため、手術は子宮頸部を円錐切除するものだったそうです。「入院は3日ほどで費用は5万円くらい。その間、子どもたちは実家にお願いしたの」と話すあきさん。まだ小さい2人の子どもたちは事情がわからないようでしたが、1番上の長男はあきさんが入院することは理解していて、心配そうな顔をしていたそうです。

費用は思ったよりかからなかったけど、手術後が一番苦しかったとあきさんは言います。

「手術が終わってからが本番のような気持ちに」

「手術をしてがんは取れた」と主治医に言われても、なかなか安心はできなかったと話すあきさん。「手術が終わってからが本番のような気持ちになったの。再発しないで寛解になるまでは油断できないなって」。

子宮頸がんが再発した場合、再発のタイミングはおよそ75%が治療から2~3年後だと言われています。がんには5年生存率という言葉があるのですが、5年経過してからの再発もあるため、油断はできなかったといいます。「毎日子どもたちの成長を見ながら再発しないことを祈ることしかできなくて。もしも再発したらと考える日々だったの」と苦しかった心中を吐露していました。

手術を受けてから5年が過ぎ、半年ごとに経過観察をしていたあきさん。5年目のある日、主治医から「よく頑張ったね。次からは1年ごとに検診に来てね」と言われ、その場で涙がこぼれてしまったそうです。

「まだ不安はあるけれど、やっと普通の生活に戻れるような気がして涙が止まらなかった」とあきさんはいいます。

毎年の検診や備えをする大切さ

子宮頸がんは早期発見で寛解する病です。あきさんのように検診で見つかる場合もあります。

あきさんは子宮頸がん手術から10年が経過し、現在も再発はしていません。「あのとき検診を受けていなかったらいまの生活はなかったと思う。だから、もっと女性には積極的に検診を受けて欲しい」と話していました。

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