【漫画】シングルマザーはハイブランドを持ってはいけないの? 大切にしてきた高級バッグにママ友から心ない言葉

長岡 杏果 長岡 杏果

日本ではひとり親世帯の貧困が社会的な問題となっています。2020(令和2)年11月に厚生労働省より公表された資料「ひとり親家庭の現状と支援施策について」の中で、母子世帯の総所得は「児童のいる世帯」の41%に留まるとの結果が公表されています。しかし、ひとり親に対する支援について厳しい意見を耳にすることがあります。

北陸在住のシングルマザー・Nさん(30代・会社員)には小学1年生の女の子がいます。家事や育児・仕事に日々奮闘しているNさんですが、先日ママ友の一言でシングルマザーに対する偏見を目の当たりにしたと話してくれました。

大切にしていたバッグが悲劇のはじまり

Nさんが離婚をしたのは4年前。離婚の原因は元夫の借金でした。Nさんの元夫は仕事をしていたものの、お金がなくなると家にあるものをNさんに内緒で売却し、ギャンブルの資金に充てていました。Nさんはそんな夫の行動がエスカレートしていく中、独身時代に貯金をして購入したハイブランドのバッグだけは売却されては困るとずっと実家に預けていました。そして離婚後、そのお気に入りのバッグを使うようになったのです。

Nさんは子どもの入学式に、ずっと大切にしていたそのバッグを持って参列しました。しかし、それが悲劇のはじまりとなったのです。

「ひとり親ってお金とかもらえるんだよね」

大切なときに使おうと決めていたNさんは、これまでママ友の前でこのバッグを持ったことはありませんでした。使う機会が少なかったことや大切に保管していたこともあり、Nさんのバッグは新品のようにきれいだったそうです。

入学式から数日経ったある日、保育園のときから仲良くしていたママ友に突然、悲しい一言を言われたのです。「私たちの税金で、バッグ買ったんだー。ひとり親ってお金とかもらえるんだよね。ひとり親、満喫しているね」と。

Nさんは信頼していたママ友に言われた言葉にショックを受けながらも、独身時代にお金を貯めて購入したものと伝えたそうですが、信じてはもらえなかったそうです。

「あんまり目立つことしない方がいいよ、シングルマザーは」

ショックを受けたNさんは、入学式にハイブランドのバッグを持って参列したことがマナー的によくなかったのではないかと自分を責める日が続きました。

そんなある日、Nさんに別のママ友からSNSを通して連絡がきました。その内容は「あんまり目立つことしない方がいいよ、シングルマザーは」というものでした。「シングルマザーはハイブランドを持ってはいけない」「ぜいたく品を持ってはいけない」と言われているような気がしたと涙ながらに話してくれました。

シングルマザーという偏見と戦う人は多くいる

ママ友と話すことや会うことが怖くなったNさんは、次第にママ友との連絡を避けるようになりました。しかしそんなNさんを救ってくれたのは、Nさんの子どもの担任の先生でした。

夏休み前の面談で担任の先生から「毎日、お疲れさまです。お母さんの頑張りが、子どもを通してよく伝わってきます」と言われたそうです。これまでピーンと張りつめていた糸が切れたように、先生の前でNさんは号泣してしまいました。

そして自分のバッグのせいで子どもがいじめられていないか心配していたと話すと、先生は「お母さん、自信を持ってください。周りは好き勝手言います。私もシングルマザーです。私は周りの人とは闘いません。自分の弱い心に負けないようにするだけです」と笑って話してくれたそうです。

Nさんは先生の言葉がきっかけとなり、子どものためにも自分らしく生きていこうと決め、シングルマザーはたくさんいると割り切って物事を考えることができるようになったと話しくれました。

   ◇   ◇

Nさんはその後も、そのママ友とお付き合いをしているそうです。人の発言を許せる自分になった気がしたと笑顔で話す姿に強さを感じました。

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