マスクの功罪…虫歯や歯周病、口臭リスクがアップ!? 矯正治療する人には追い風に

ドクター備忘録

木村 正信 木村 正信

 コロナ禍、マスク着用はエチケットになっていますが、医者の立場からみると、功罪があります。長時間使用で酸欠状態に陥る人もいます。また、マスク着用で口呼吸になる人が増え、その結果、虫歯や歯周病、口臭のリスクもアップするのです。反対に口元を隠せる利点があるため、マスクを利用して矯正治療に入る人が増えてもいます。マスク時代に対応した対策を考える必要があります。

マスク生活で注意したいのは口呼吸!

 通常、呼吸をするときは鼻呼吸が正しい呼吸法です。しかし、マスクを着用することで、息苦しさもあってか、口呼吸になってしまう人が少なくありません。怖いのは、この口呼吸が習慣化してしまうことです。

 想像してみてください。口で呼吸をしていると口を少し開けたままの状態になりがちです。鼻呼吸は副鼻腔が吸い込んだ空気を適切に加温、加湿して気道に送っていきますが、口呼吸ではそれができないため、口の中が乾燥しやすくなります。

 口の中が乾くと、どうなるか。汚れが着きやすく、虫歯や歯周病の原因になるプラークが付着する原因にもなります。加えて、唾液も減少。この唾液の減少も大きな問題です。詳しく説明しましょう。

唾液の分泌量が減れば、口腔内のリスクはアップ!

 唾液は口腔内を潤し、細菌の増殖を抑え、口臭、虫歯、歯周病なども抑えてくれる働きがあるのですが、唾液の分泌量が減れば、いきおい口腔内の細菌や、汚れを洗い流すなどの自浄作用にも影響を及ぼします。

 気になる人は、口の中の菌の数、唾液の酸性度、歯垢の付きやすさ、虫歯になりやすいかどうかを調べる「唾液検査」を受けることをおすすめします。これをすると、白血球やタンパク質の量からは歯茎の健康状態、細菌の数とアンモニアの量などで口臭もチェックできます。

口元の若さにも影響する「口輪(こうりん)筋」

 また、マスク生活のリスクとして、こんなこともあります。人と話す機会が極端に減り、口の周りの筋肉をあまり使わなくなっているという人が少なくありません。この口輪(こうりん)筋が衰えると、口が開きがちになり、口角が下がり、たるみの原因にもなりかねません。

 口輪筋は唇を閉じたり、すぼめたりするときに使われる筋肉です。どちらかというと、動かすことが少ないので、日ごろから意識して口輪筋を動かすようにもしたいものです。

マスク着用で要注意なのが「酸欠」

 マスクで鼻と口をおおっていると酸素の摂取量が減りやすいともいえます。また、ストレスでも引き起こされるのが、酸素不足です。コロナ時代になり、マスク自体もストレスの一つになっています。マスクやストレスなどで酸素不足を引き起こすことで、免疫力も低下します。気がつけば、知らないうちに酸欠状態に陥っていることがあります。

 酸欠にならないためにはどうすればいいか。

①時々、マスクをはずす時間を作りましょう。
②深呼吸で酸素の摂取量を増やしましょう。
③スポーツ時や暑い日のマスク着用には注意が必要です。周囲に配慮しつつ、こまめに外しましょう。

マスク着用の今こそ、歯列矯正を始めよう!

 マスク着用が日常化したいま、歯列矯正を希望する患者さんが増えています。というのも、歯列矯正は短期間で治療が終わると言うものではありません。そのため、半年から1年以上かかる場合も多く、マスク時代のいまだからこそ、口元が目立たず、歯列矯正ができるというわけです。

 特に「表側矯正」は歯の表面に金属製の装置「ブラケット」を取り付け、ワイヤーを通して歯を移動させる治療法です。しかし、表側に取り付けるため、目立ちやすく、そのことを気にしている患者さんが少なくありません。そのため「マスク生活が日常になった今こそ、目立たないので、やってしまいたい」という声がたくさんありました。

 感染者数は落ち着いていますが、油断はできません。これからもマスク着用はエチケットです。メリットとデメリットを理解した上で、うまく付き合いたいものです。

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