「四十八願」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
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漢字と読みが全く対応していないという、難読名字の代表的なものの一つ。「四十八願」と書いて、「よいなら」と読む。
栃木県の名字で、戦国時代の佐野の大名佐野氏の家臣に、すでに四十八願氏がいたことが見える。
「四十八願」(しじゅうはちがん)とは大乗仏教の経典の一つ・無量寿経にある言葉で、『日本国語大辞典』によると「阿弥陀仏が法蔵比丘であったころ、一切衆生を救うために発した四十八の願のこと」とある。しかし、これがどうして「よいなら」と読むかは定かではない。
佐野市葛生地区に四十八願という地名があるので、ここがルーツのようにも見えるが、四十八願氏の屋敷があったために地名が四十八願になったといい、どうやら名字が先のようだ。おそらく、仏教用語を名字とした「四十八願」氏が、佐野市の「よいなら」という場所に住んだことから、「四十八願」と「よいなら」が結びついたものではないだろうか。
現在でも佐野市に最も多く、足利市にもある。