「八月一日」…この名字、読めますか? 迫る台風シーズン…旧暦のこの日に行う、豊作を祈る神事が由来

日本の難読名字

森岡 浩 森岡 浩

「八月一日」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

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以前紹介した「四月一日」と同じく、月日だけの名字。ネット上には色んな月日名字が紹介されているが、実際には「四月一日」と「八月一日」の2つしか実在しない。

昨年、台風19号が猛烈な勢力を保ったまま東日本を縦断し、河川が氾濫して各地に大きな被害が出たことは記憶に新しい。毎年秋になると南方で発生した台風が日本列島に到達し、各地に大きな被害が出る。

こうした台風が日本列島を襲い始める9月は、旧暦では8月となる。この時期はちょうど米の収穫時期でもあり、洪水などで農作物に被害が出ることも多い。そこで、旧暦の8月1日に稲の穂を摘んで神様に供え、台風に襲われず、米が豊作となることを祈願した。

この「穂をつむ」ということから、「八月一日」と書いて「ほずみ」と読む名字が生まれた。八月一日さんはこうした神事に関わった人が名乗ったものだろう。

各地に点々とあるが、とくに関東から東北南部にかけて集中している。また「ついたち」のことは「朔日」といったことから、現在は「八月朔日」と書くことが多い。なお、茨城県のつくば地方では読み方が「ほぞみ」と変化していることもある。

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