世界的に問題視されている野菜や衣類の廃棄を減らそうと、関大生による「魔女プロジェクト」が立ち上げられ、注目を集めている。産学連携でSDGs商品を開発し、事業継続に向けたクラウドファンディングにも挑戦中だ。パッケージや縫製は福祉事業者の障がい者が担当しており、雇用待遇の向上にも寄与できると期待されている。関西大学商学部横山ゼミの横山恵子教授に聞いた。
「産地廃棄野菜」と「廃棄衣料」2つの問題解決を目指す!
今、世界的に取り組まれている国際社会共通の目標であるSDGs。その一環として関西大学商学部の横山恵子ゼミでは、産地廃棄野菜問題と廃棄衣料問題の解決を目指す「魔女プロジェクト」を立ち上げた。
これは学生たちが知恵を出しあって”魔法”をかけ、いままでなら廃棄されたものを有効利用しようとする試み。ゼミ7期生によるプロジェクトは「食の魔女」チームと「衣の魔女」チームの2つで構成されているという。
「食の魔女」は「ちょっとリッチな海老芋ポタージュ」を開発!
「食の魔女」チームは廃棄野菜問題の解決策として賞味期限切れの非常食に着目した。「ふだんから食べたいと思えるような美味しい非常食を作れば、解決につながるのでは?」という学生たちの発想から商品開発に着手することになった。
そこで、食品ロスゼロを目標に掲げる「開屋本舗株式会社」(大阪府富田林市)と「食品工房株式会社」(大阪府富田林市) とコラボ。産学連携で誕生したのが缶詰スープ「ちょっとリッチな海老芋ポタージュ」だ。
「クリーミーで栄養満点、どんな時でも常温ですぐに食べられる」と横山教授。原材料に廃棄野菜を用いており、同時に2つの食品ロスの削減につなげる工夫もなされている。また、パッケージデザインは社会福祉法人「若草会」(東大阪市)の障がいある方々が描いたもので、ユニークなアート作品になっている点も見逃せない。
「衣の魔女」チームは“未活用生地”を使用したトートバッグを開発
一方、「衣の魔女」チームは、繊維の専門商社としてリサイクルに力を入れている「株式会社チクマ 」(大阪市)と連携。“未活用生地”を使用しているのが大きな特徴。元の形や特徴などを活かしつつ、新たな付加価値を持たせ、より価値の高いモノを生み出すアップサイクル商品を企画することになった。
そこで生まれたのがバネ口ポーチや「WITCHILL(ウィッチル)」と名づけたトートバッグ。ウイッチルとは彼らの活動方針でもある①Welfare(福祉)②Improve(改良する)③Tie(繋がる)④Clothing(衣服)⑤Hope(希望)の頭文字を取り、英語でリラックスを意味する「CHILL」を組み合わせた。
横山教授によると「しっかりとした生地で使い勝手が良いデザインに仕上げたのが特長」といい、製作は大阪市の就労継続支援B型事業所(OLIVIA+、Chouchou、道の空)の障がいある方々が担っているそうだ。
活動継続を目指し、クラウドファンディングにも挑戦!
課題は企画した商品が持続可能かどうか。そこで「魔女プロジェクト」では、商品の生産と今後の事業継続に向けたクラウドファンディング(キャンプファイアー)にも挑戦することになった。食の魔女「ちょっとリッチな海老芋ポタージュ」のクラウドファンディングは11月1日まで、衣の魔女「WITCHILL」は10月26日まで実施している。
学生たちが知恵を出し合った心温まるアイデア。継続発展していくことを願わずにはいられない。
食の魔女プロジェクト https://camp-fire.jp/projects/view/465396
衣の魔女プロジェクト https://camp-fire.jp/projects/view/475071