急にものが二重に見えたら…?実は危険かもしれない「複視」について専門医が解説

ドクター備忘録

窪谷 日奈子 窪谷 日奈子

片目で見たら1つに見えるけれど、両目で見るとものが二重に見える。これを「複視」と呼んでいます。片目で二重に見える場合、多くは乱視などの眼科的な病気が考えられます。しかし複視の場合、命に関わる危険なサインかもしれないので注意が必要です。

複視は左右の目の位置が正面からずれていたり、目の動きが悪くなっている時に自覚します。目を動かすときに使う筋肉の異常か筋肉に指令を出す神経の異常で起こります。

原因を探すためには、頭のMRIやCTの検査が必要です。急激に複視が出現した場合、神経を圧迫するような大きな病変、たとえば脳腫瘍、脳梗塞、動脈瘤、血管異常、多発性硬化症などが原因になることがあるからです。他にも重症筋無力症、甲状腺眼症、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの症状のひとつとして複視が出現することもあります。

特に注意が必要なものは、脳動脈瘤にともなうもの。動脈瘤が起こりやすい内頸動脈―後交通動脈分岐部の近くに動眼神経が走行しているので、動脈瘤が増大して動眼神経を圧迫するようになると複視が起こるからです。動脈瘤が急速に増大している可能性があります。複視は破裂の兆候とされており、緊急治療の対象となります。

急に複視を発症した患者さんは眼科を受診することが多いですが、まずは頭のMRIを撮って緊急の病変がないか確認することが大切です。特に複数の方向に目が動かない、まぶたが下がっている、瞳孔が開いているといった症状は動眼神経麻痺の可能性があり、危険なサインです。

とはいえ頻度として多いのは一時的に血の巡りが悪くなっていたり、糖尿病からくる神経障害です。その場合2~3カ月で自然に治ることもあるので、内科治療を受けながら経過観察することになります。自己判断が難しい病気なので、気がついたらぜひ眼科・脳神経外科を受診してくださいね。

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