「武茂」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
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普通に読めば「たけしげ」。しかし、「武」を「む」、「茂」を「も」と、ともに音読みにして「むも」と読む。この名字はかなり歴史が古い。
ルーツの地は下野国那須郡武茂郷、現在の栃木県那須郡那珂川町。鎌倉時代の正応~永仁年間(1288~99)頃に、下野の有力大名だった宇都宮景綱の三男泰宗が武茂城を築城して拠り、以後代々武茂氏を称して宇都宮氏に属した。
持綱の時に一旦断絶したが、室町時代に一族の芳賀成高の子正綱が武茂氏を再興。戦国時代には堅綱が佐竹氏に従っている。
天正18年(1590)に豊臣秀吉が北条氏を下して関東を平定すると、武茂領は佐竹領に組み込まれ、名実ともに佐竹氏の家臣となった。関ヶ原合戦後は佐竹氏の出羽移封にともなって秋田に移り、江戸時代は秋田藩士となっている。
現在でも秋田県にみられる。