「栗花落」…この名字、読めますか? 栗の花が落ちるころの季節が読み方に

日本の難読名字

森岡 浩 森岡 浩

「栗花落」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

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栗の花が落ちると書くこの名字。この字面からは読み方を想像することはできない。

栗は古代から日本人にはなじみの深い植物だった。青森県の三内丸山遺跡からは、すでに栽培されていたと思われる栗の化石が出土している。縄文人は栗をすりつぶして食べていたといわれている。

この栗の実がなるのは秋。そして、花が咲くのは5月下旬から6月にかけてである。「栗の花」はこの頃を表す季語にもなっている。この花が落ちるのは6月の中旬から下旬にかけてで、ちょうどこの頃に梅雨の季節に入るため、「栗花落」は本来「つゆいり」と読んだとみられる。「つゆいり」という読み方はやがて短くなり、現在では「つゆり」と読む。そして、「栗花落」の本家ではさらに短く「つゆ」であるという。

この名字は古く、戦国時代の摂津国八部郡原野村(神戸市北区)の領主に栗花落氏がいたことが知られている。現在も神戸市や、瀬戸内海の小豆島などにある。

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