「毒島」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
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群馬県にある難読名字。昔はプロ野球の東映に毒島章一選手、現在では競艇に毒島誠選手がいるため、読める人も多いだろう。
また、「附子」(ぶす)というタイトルの狂言が掲載されている国語の教科書があるため、「ぶす」が毒を意味することを知っている人も多いのではないだろうか。
「ぶす」とはトリカブトの根を乾燥させたもので、正しくは「ぶし」という。トリカブトは毒性が強いため、一般には「毒」というイメージが強いが、本来は強心、利尿、鎮痛などの目的で使われる漢方薬である。
また「島」は海に浮かぶ島だけではなく、平地や盆地の小高いところも指した。「毒島」というのはトリカブトの採れる小高い場所のことだろう。
戦国時代すでに岩松氏の家臣に毒島氏の名がみえ、現在でも過半数が群馬県にあり、大半が桐生市付近に集中している。