「桃栗三年柿八年」ーー芽が出てから実がつくまでにモモやクリは3年、カキは8年かかるということわざがありますが、10年越しでクリの実をプレゼントされた話がTwitterで注目を集めています。
ネット「ステキなお義父様」「いい話」
Twitterユーザー「鹿」さん(@shikanova_tarot)は11日、「10年前まだ夫が恋人だった頃、義父に『“ぽろたん”っていう栗があるらしくて、憧れなんですよね…』みたいな話をしたんです。そしたら昨晩『あれからうちの山に植えたぽろたん、やっと実をつけたよ』って10年越しで夢を叶えてくれました。おとうさああああん!!!ほんとにポロっと剥けるううう」と投稿。2枚のクリの実の写真も公開しました。
ネット上では「ステキなお義父様ですね」「やさしい」「いいお話」「愛ですね」「うちも植えたい」などの感想が並び、2万を超えるいいねがつきました。
義父はニコニコ「よかったよかった」
投稿主の鹿さんに話を聞きました。
ーーお義父さまがぽろたんを育てていることは知らなかった?
「私のあの発言以降のどこかで『苗木を見つけたから植えたらしい』と夫から聞いていましたが、その後『収穫できた』という話は何年もなかったので『きっともうとっくにダメになってしまったのだろう』と勝手に思い込んでいました」
ーーお義父さまは普段からサプライズがお好き?
「優しくて真面目な方です。特にサプライズをするようなタイプではありません。本人も今回のことはサプライズのつもりはなかったのだと思いますが、とっくの昔にあきらめていたぽろたんが目の前に現れて本当にうれしかったです!」
ーー鹿さんの喜びを知り、お義父さまはどんな反応でしたか?
「普段あまり感情を表に出さない私が『お義父さん見てください!こんな風にむけましたよ!すごいー!!』とテンション高く報告したので、喜びは伝わったかなと思います。義父は『よかったよかった』とニコニコしてくれました」
ーーぽろたんの味や皮のむき心地はいかがでしたか?
「味はそんなに甘いというわけではないですが、ほくほくでおいしかったです。5歳の息子も『じいちゃんのぽろたんおいしい!もっと食べたい!』と大喜びでした。毎年栗の皮むきには苦戦していたのですが、火を入れると本当に渋皮がポロッとむけるので感動しました」
「ぽろたん」には弟もいた…!
そもそも「ぽろたん」とは? 調べてみると、農業の研究開発を行う機関「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構」(本部、茨城県つくば市)、通称「農研機構」が生みの親ということが分かりました。
同機構の担当者によると、ぽろたんは2007年10月22日に誕生したニホングリの新品種。「大粒で甘くおいしい、渋皮のむきやすいクリ」を目指し開発されました。果実に切れ目を入れ、95度のお湯で3分茹でるだけで簡単に渋皮をむくことができるのが特長。「渋皮がポロンとむけることと、広く愛されて欲しい」という願いから、育成に携わったグループの担当者により命名されました。
苗は全国のホームセンターなどでも手軽に入手可能ですが、担当者は「正式なルートで増殖された苗を購入していただきたい」と注意を呼びかけます。
「販売業者が農林水産省の登録種苗販売業者であるか、登録品種であることを示す日本果樹種苗協会のタグが苗につけられているかなどを確認していただきたいです。インターネット販売では勝手に増殖をしたものが多数あると思われます。こうしたものは、育成者の権利侵害となります」
担当者は最後に、とっておきの情報も教えてくれました。
「『ぽろたん』と親が同じ組み合わせである兄弟品種『ぽろすけ』も発表され、普及が進みつつあります」
ぽろすけの特長は、ぽろたんよりも1週間程度早く収穫できること。並行して育てることで渋皮のむきやすいクリが長期間、安定して収穫できるメリットがあるそうです。名称もぽろたんを「助ける」ことから名付けられたのだとか。鹿さんとお義父さまの親子愛同様に、ホロッとさせられる兄弟愛ですね。
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ちなみに鹿さん宅のぽろたんは12日、お義母さまの手でおいしい炊き込みご飯に生まれ変わったそうです。