「副反応が心配」「当日気をつけることは」その疑問、お答えします ワクチン接種の注意点<前編>

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

Q)副反応が心配なのですが・・

ワクチンの副反応について大切なことは、重篤なものと、そうでないものとを分けて考えること、そして、現在までに蓄積されたデータから分かっていることを、あらかじめ知った上で、判断をする、あるいは、心構えをしていただくことではないかと思います。

なににつけ、「知らないもの」はこわい、まずは「知っておく」ことが、一定の安心感と必要な対応とを可能にするのではないかと思います。

現在、全国の自治体で接種されているファイザー製と、自衛隊の大規模接種会場や職域接種で使われているモデルナ製の新型コロナワクチンについて、副反応の症状と発言割合は以下のようになっています。こうした症状の大部分は、接種後数日以内に回復しています。

こうした副反応については、新型コロナワクチンは、これまでの通常のワクチンと比べると、発生頻度は高い傾向にあると言われています。

(1)発熱や接種部位の痛みなど

下記は、日本で医療従事者2万人を対象に行われた新型コロナワクチンの先行接種における副反応の状況です。ファイザーのワクチンで、どのような副反応が生じたかを、接種者の年代別や接種後日数別に調査しています。

接種1回目より2回目、そして、若い方は刺激への反応が強いといったことから、発生率が高くなっています。ほとんどの副反応は数日でおさまっています。

例えば、37.5度以上の発熱は、下記の通り、接種1回目は数%の発生率ですが、接種2回目は、20、30代の女性では5割、男性では4割に発生しています。65歳以上の発生率が1割であったことに比べると、発生率は高くなっています。

発生日を見ると、接種日の翌日(2日目)の発生が多くなっています。

グラフを見ると、男性より女性の発生率が高くなっています。これについては諸説ありますが、女性の方が免疫反応が強い(※膠原病、関節リウマチ等の自己免疫疾患も女性に多い)ことや、ワクチンに含まれるPEG(ポリエチレングリコール)の影響などが、指摘されています。

【37.5度以上の発熱】

・年代別発生率

【37.5度以上の発熱】

・接種後日数別発生率

(2)アナフィラキシーや心筋炎など

米国CDC(米国疾病管理予防センター)によると、ワクチン(や食物など)へのアレルギー反応であるアナフィラキシー(じんましんなどの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状)の発生率は、接種者100万人当たりおよそ2-5人、日本の厚生労働省によると、ファイザーのワクチンについて、約1300万回の接種のうち169件で、およそ7万7300回に1件の割合だったということです。

また、6月23日、米国CDCの予防接種諮問委員会(ACIP)は、ファイザーやモデルナのワクチンについて、まれに若年層に心筋炎・心膜炎の発症が見られるとのデータを公表し、引き続き検証を続けることとしました。CDCや米厚生省と医療の専門団体は、「こうした症状は極めてまれで、若い世代ではほとんどが軽い症状にとどまっている。ワクチンは自分と周囲の人間を守り、その恩恵はリスクを上回る」とする声明を共同で出し、引き続き若い世代も接種するよう呼びかけています。日本の厚生労働省の審議会でも、日本循環器学会が同様の見解を示しています。

日本に限らずですが、当局は、国民の間に、新たなワクチンへの疑問や懸念があることを真摯に受けとめ、事例を幅広く収集し、接種との因果関係などを評価し、適切に情報提供することで、透明性と信頼を確保していくことが、国としてワクチン接種を進めていく上で、とても重要だと思います。

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