アイデアひとつで500万円ゲットできる「#福知山城チャレンジ」 原資は前澤友作氏のふるさと納税

山本 智行 山本 智行

 昨年、大河ドラマ「麒麟がくる」にあやかり、功を成した京都府福知山市が今年は「#福知山城チャレンジ」なる大胆な企画を打ち出した。市のシンボルを活用し、世の中に良いインパクトを与えるアイデアに対し、「お金贈りおじさん」ことZOZO創業者で実業家の前澤友作さんからのふるさと納税500万円を提供するというもの。募集は「本能寺の変」があった6月2日から始まっている。7月4日まで。一体、どういうこと?

 三日天下どころの騒ぎではない。郷土愛に裏打ちされたしたたかさと粘っこさ。昨年NHK大河ドラマ「麒麟がくる」に連動した企画で数々の賞を手にした明智光秀ゆかりの街、福知山市がまた”謀反”を起こした。何と、前澤さんが納めたふるさと納税500万円をフル活用した「#福知山城チャレンジ」企画を実施。アイデア提案者に最大500万円を渡すというものだ。

 福知山市役所の宇都宮萌さんは「福知山城を舞台にして、世の中を良くし、チャレンジ精神あふれるアイデアを募集します。現地、オンラインは問いません。個人でも団体でもOK。日本中を巻き込んだ挑戦にしたい」と大きく出た。すでに大河ドラマは「青天を衝け」になったが、ここ福知山ではどっこい、光秀マインドは健在というわけだ。

 そもそもの始まりは昨年11月に前澤さんが全国の自治体の首長にツイッターでふるさと納税8億円のアイデアを呼び掛けたことだった。これに福知山の大橋一夫市長が素早く呼応。「福知山城プロジェクションマッピング常設」など3つの8億円獲得アイデアを届けた。

 だが、前澤太っ腹プロジェクトは最終的には全国150の自治体に500万円ずつ、ふるさと納税として寄付することで一件落着。「返礼品は辞退します」とも表明した。寄付金の使い道は各自治体に任されていることから市では光秀築城の「#福知山城チャレンジ」を実施する運びとなった。ちなみに福知山市ではふるさと納税1万円分に丹波栗のスイーツや鴨すきセットなどを返礼しており、500万円分となると、とんでもない量になりそうだ。

 もっとも福知山の積極果敢さはいまに始まったことではない。昨年は5月から8月にかけ「本能寺の変プロジェクト」として「謀反のお知らせハガキ」「本能寺の変 原因説50 総選挙(#HNG50)」「クラウドファンディング」など参加型のイベントを実施した。

 大河ゆかりの場所だったから張り切るのは当然かもしれないが、コロナ禍という逆境の中、数々のヒットを飛ばし「自治体広報の甲子園」ともいわれる全国広報コンクールで「特選・総務大臣賞」など多くの賞を受賞。本来なら今年1年ぐらいは停戦してもよさそうなものだが、ふるさと納税500万円をいかさない手はないと「決起」したのだ。

 すでにアイデアの募集は福知山市が「光秀メモリアルデー」と位置づける今月2日から始まっており、来月4日まで受け付ける。集まったアイデアは1次審査で2組に絞り込み、7月中旬以降にオンラインと現地投票による一般投票で8月上旬に”勝者”が決まる。アイデア実施は9月から2022年3月、その費用として最大500万円が提供される、というのが一連の流れだ。

 「逆境に立ち向かった光秀さんのように福知山は挑戦的な街づくりを進めて来ました。福知山城を活用し、こんなことができる、あんなアイデアがある。そんな挑戦する心を持った方、ぜひ、チャレンジしてください」と市の担当者。麒麟は去っても余韻はしっかりと残っている。

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