西日本は「ザーザー」、東日本は「しとしと」 東西で違う梅雨の表情とは

辻 智也 辻 智也

 近畿地方は今年、5月16日に梅雨入りした。平年より21日も早く、記録が残る1951年以降で最も早かった。「じめじめ」「しとしと」という印象がある梅雨だが、西日本と東日本では表情が異なる。

 梅雨は、南の暖かい「小笠原気団」と、北の冷たい「オホーツク気団」が日本付近で衝突して起こる。どちらの気団も湿っているが、温度が違うため、境界で対流が活発化し、雨雲が発生する。この境界が「梅雨前線」にあたる。

 二つの気団は6~7月に「押し合い」を続けるため、梅雨前線は日本付近に停滞し、雨や曇りが続く。小笠原気団が強まり、オホーツク気団を北へ追いやると本格的な夏になる。逆に秋は、小笠原気団が衰えて南下する際、秋雨前線が発生して日本付近に秋の長雨をもたらす。

 こうした梅雨や秋雨の仕組みは、東・西日本とも共通だ。しかし、データは雨の降り方の違いを示す。

 1カ月を3分割した「旬」ごとの平均降水量は、京都市と滋賀県彦根市は7月上旬が年間最多で、6月下旬と7月中旬が続く。この時季、鴨川大洪水(京都市、1935年6月)や平和池水害(京都府亀岡市、51年7月)など重大な災害が多く起こった。大阪市や福岡市も6~7月が最多だ。一方、東京都は10月上旬、仙台市は9月中旬が年間最多で、台風や秋雨による雨量が梅雨を上回る。

 つまり梅雨は、西日本ほど「ザーザー」と強い雨が降り、東日本は「しとしと」と降る傾向にある。なぜ違いが出るのか。京都地方気象台によると、梅雨前線は太平洋の高気圧に沿って南西から流れこむ湿った空気を受け、活発化する。この湿った空気の直撃を受けやすい九州や四国など南西ほど雨量が多くなる。

 一方、秋雨は二つの気団の境界(前線)が北方にある秋口に活発になり、西日本付近まで南下すると弱まるため、北日本や東日本で雨量が多くなるという。

 さて、気になるのは今年の梅雨の見通し。「梅雨入りが早い年は、梅雨明けも早い」というデータはない。近畿地方で5月の梅雨入りは過去11回あるが、うち4回は梅雨明けが平年(7月19日頃)より遅くなった。また、うち9回は平均的な梅雨の長さ(44日間)を上回った。

 同気象台は「今年、早く明けるかどうかは分からない。強い雨が降りやすい期間が延びれば、土砂災害や水害に備える期間も長くなるので警戒して」と呼び掛ける。

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