「これをこうしてこう彫ってます!」。文字はたった15字。これに3枚の写真を付けたシンプルなツイートが1万回以上リツイートされ、6万回以上の「いいね」が付くなど話題となっています。紹介されているのは、仏像制作の様子。ツイートの意図などを投稿者の仏師に聞きました。
投稿したのは、仏師の三浦耀山さん(47)=京都市上京区=です。三浦さんは大学生時代に友人と寺巡りを始め、仏像の魅力にとりつかれたといいます。大学卒業後はいったん企業に就職したものの、仏師の求人を見て3年後に退職。滋賀県の仏師の元に弟子入りしました。現在は京都に工房を構え、お寺から依頼を受けて修理したり、新たな仏像を彫ったりしています。
三浦さんが話題のツイートを投稿したのは4月30日のこと。7年ほど前に作った高さ約80センチの観音菩薩(ぼさつ)像の制作過程を3枚の写真とともに紹介しました。1枚目は、「木取り」と呼ばれる初期段階の場面です。木に仏像を彫る際の大まかな目安となる升目状の線を引く工程を指します。
このほか、2枚目でなんとなく仏像の姿が見えてきた様子、3枚目で完成形の写真をそれぞれ投稿しました。
三浦さんはこれまでにも、伝統的な技法で新たな仏像を彫っている人が現代にいることを知ってもらおうと、仏像制作の様子をツイッターに投稿してきました。ですが、ツイートがこれほどの反響を呼んだのは初めてだといいます。
ツイートには「すてきです」「作業工程など想像が膨らみます。良い物を見せていただきました」などの感想がリプライで寄せられました。三浦さんは「展覧会をやったことがないので、見た人の反応を知ることができてうれしかった」と言います。
三浦さんは自身の工房「土御門仏所」(上京区上長者町通西洞院東入ル)で仏像彫刻教室を、「龍岸寺」(下京区塩小路通大宮東入ル)で一日仏像彫刻教室を開催しています。今回の反響で「仏像を彫ってみたいと思う人が増えればいい」と期待を込めています。