新型コロナウイルスの感染拡大で、夜の時短営業や酒類提供自粛を求められているお好み焼き店や中華チェーン店が、モーニングメニューを始めている。どちらも「胃に重い」イメージが付きまとうが、通常より小さいサイズにしたり、中華がゆにしたりと、「あっさり」と食べられる工夫を凝らしている。
夜より小さ目サイズのお好み焼き、朝6時から
夜のメニューより一回り小さいお好み焼きと、飲み物がセットになったモーニング(700円)。京都市中京区の「花たぬき 御池店」では、府に緊急事態宣言が発令される方針が決まった4月下旬、開店を午前11時半から6時へ早めた。
「夜が駄目なら朝しかない。何でもやる」と話すのは川口茂エリアマネージャー(42)。コロナが流行し始めた昨春以降、店を改装し、弁当販売やランチ、宅配とやれる工夫はすべてやってきた。しかし状況は良くならず、今回の宣言で酒類の提供自粛まで求められた。
朝食セットは「わらをもつかむ思い」(同店)で始めた。お好み焼きだけでは売り上げは伸びないと思い、近くの人気パン店の食パンも用意し、鉄板でかりっと焼き上げる。セットの飲み物は、店にコーヒーカップがないため、焼酎湯割り用の耐熱グラスで代用した。客は1日数人程度だが、「弁当の仕込み時間を活用し、余分な人件費をかけない工夫をしている。一人でもお客が来てくれるとやる気につながる」と意気込む。
「王将」は中華がゆなど、朝客の半数以上が注文
中華チェーン店でも、突破口を開こうと、朝食提供に乗り出した。「餃子(ぎょうざ)の王将 西大路五条店」(京都市右京区)は、昨年6月上旬から営業開始時間を午前11時から8時に早め、「朝活メニュー」を導入。「卵とカニカマの中華がゆ」(438円)や「さけレタスチャーハン」(495円)など、「油も値段も控えめにしている」(同店)。
9時すぎに同店を訪れた会社員男性(51)=京都市上京区=は、「開店時間が早まってから、夜勤明けに頻繁に来るようになった。あっさりしておいしい」と笑顔。同店によると通常メニューも提供しているが、半数が「朝活」を注文するという。
全国でも焼き肉チェーンが東京や大阪の31店舗で「朝焼き肉セット」を始めるなど、モーニングに活路を見いだす店が増えつつある。餃子の王将を展開する王将フードサービスの曽根大輔・西日本第二営業部長は「新しい需要を掘り起こし、苦境を乗り越えたい」と話している。