インドの感染爆発から、日本と世界が学ぶこと、すべきこと

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

ワクチン接種が進んでも、感染は、何度でも再拡大する。

前回お話ししたように、英やイスラエルのように、ワクチン接種が進んで、感染を抑えられた国がある一方で、米やチリのように、抑えられていない国があります。

インドでは、昨年9月に感染者が9万人を超えましたが、その後減少し、今年1月にモディ首相が「コロナ勝利宣言」を出しました。そして、数カ月にわたる大規模なヒンドゥー教の宗教行事「クンブメーラ」が始まり、マスク無しで数百万人が密集して、聖地の川で沐浴しました。元々、衛生状態も医療水準も極めて厳しい国ゆえ、被害が甚大になりました。WHOの報告書も、この宗教的な行事の開催など、社会的な感染対策が困難であったこと等も要因だと指摘しています。

あまり知られていないかもしれませんが、インドは、日頃から世界で流通するワクチンの6割を製造する「ワクチン大国」です。新型コロナワクチン(自国開発のものと、英アストラゼネカのワクチンを自国でライセンス生産したものとがある。)についても、インドは、ワクチン接種数世界第3位(接種総数1億4500万回、一度でも接種した人は人口の8.8%(4月27日))で、他国に輸出もしてきていました。

しかしインドは、感染が再び急拡大し、ワクチンを自国民に優先するため、新型コロナワクチンの輸出をストップしました。これにより、国連の支援を受けたワクチン公平分配プログラムCOVAXによる、中低所得国へのワクチン供給も滞っていますので、インドでの感染急拡大の影響は、世界への新たな変異株の拡散だけでなく、他の多くの国のワクチン接種にも及ぶことになります。

【世界のワクチン接種回数(人口比ではなく、総数での比較)】

【世界:一度でもワクチン接種した人の各国民に占める割合】

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