台湾では生涯に3回改名できる
台湾では「姓名条例」により原則、生涯で3回改名することができると定められている。さらにその手続きは、日本より圧倒的に簡単だ。日本の場合、改名には正当な理由を立証し、家庭裁判所の許可を得る必要があるが、台湾の場合は「学校や職場等に同姓同名がいる」「名前の字義が低俗である」など姓名条例の定める改名理由を役所に申請し、必要書類と手数料を添えれば改名が可能。最速で申請当日に新しい名前の身分証明書が発行されるのだ。
主な姓TOP10だけで人口の半数以上を占める台湾は同姓同名がとても多く、姓名条例に定められた理由を挙げて申請することは難しいことではない。つまり、このサーモンの乱では、改名の機会が2回以上残っていればキャンペーンのために「鮭魚」と改名し、その後、元の名前や別の名前に再改名すれば生活に支障は起きないのである。
台湾で改名が多いワケ
それにしても「改名をそんなカジュアルに考えていいの!?」と驚いてしまうが、そもそも台湾は毎年約10万人が改名するという社会だ。その理由は前述の通り同姓同名の人が大変多いことのほか、運気アップのために改名するケースもある。台湾は風水や占いが盛んで「改名」が「改命(運命を変える)」へつながると考えられており、運気が下がったときや就職や結婚など人生の節目に改名する人も多い。改名はそんなに珍しいことではないのだ。
もしスシローが日本で同じキャンペーンを行ったとしても、日本ならネタかオチだと流されて終わりだろう。改名の手続きが難しくなく、心理的ハードルも高くない台湾だからこそ起きた「サーモンの乱」だと言える。