「南風原」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
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「東風」と書いて「こち」と読む名字(東風平=こちんだ)を紹介したことがあるが、それでは「南風」と書いてどう読むだろうか。正解は「はえ」で、「南風原」は「はえばる」と読む。
西日本では梅雨から盛夏にかけて南から吹く風のことを「はえ」といい、梅雨期のものを「黒はえ」、梅雨明け以後のものを「白はえ」として区別することもある。梅雨の最盛期の強い南風は「荒南風」ということもあった。また、南西諸島から沖縄では、南の方角のことも「はえ」といった。
「南風原」という名字は沖縄のもので、ルーツは南風原間切という地名。現在は島尻郡南風原町となっている。
石垣島を中心に、八重山諸島一帯には「南風立(はえだて)」「南風野」「南風盛」「南風原」など「南風~」という名字が集まっているが、その中では「南風原」が圧倒的に数が多く、沖縄本島南部と石垣島、渡名喜島に集中している。