「京」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩が日本人の難読名字を紹介します。
◇ ◇
「京」という名字そのものも珍しいが、その大多数は漢字の読み通り「きょう」である。ところが、大阪府阪南市には「京」と書いて「かなどめ」という難読名字がある。
戦前のカルタは、五十音順ではなく、いろは順で作られていた。そして、この「いろはカルタ」には大きく江戸、上方、尾張の3種類があり、読み札に書かれている言葉(ことわざなど)が違っている。
たとえば、江戸カルタでは最初の「い」の読み札が「犬も歩けば棒にあたる」であったため、通称「いぬぼうカルタ」ともいわれるが、上方カルタの「い」は「一寸先は闇」、尾張では「一を聞いて十を知る」で、いずれも違っている。
そして、いろは47文字の最後「す」のあとに、江戸カルタでは「京の夢 大坂の夢」、上方カルタでは「京に田舎あり」と書かれた「京」という札があった。
このことから、「かな」の後ろにある「一番最後(とめ)」という意味で、京を「かなどめ」と読ませている。