なにかと陰鬱な気分になりがちな日々、自然の中で身も心もリフレッシュしたい。初歩的なアウトドア用語について、ショップ店員のKさんに聞いた。
アウトドアといえば「キャンプ」…でも、いろんな形がある
「アウトドア(Outdoor)は『野外』という意味で、本来は野外で行う活動全般を指します。でも日本では、野外でテントを張って過ごしたりバーベキューをしたりする『キャンプ』のイメージが強いです」
そのキャンプにも、場所ややり方によって呼び方が変わるという。
「いちばんお手軽にできるのは『屋上キャンプ』でしょうね」
ビルやマンションの屋上に出られることが前提だが、車や交通期間を使わず屋上へテントをもっていくだけで、燦燦と降り注ぐ太陽の下でキャンプ気分を味わえる。
「これから本格的にアウトドアライフを始めたい人には、テントを張る練習にもなります」
テントを張る作業に慣れたら、山へ行って実際にテントを張りたくなる。それをひとりでやるのが「ソロキャンプ」だ。
「日頃の人間関係のわずらわしさを忘れたいというので、最近はブームになっています。これとは逆に、ひとりだと寂しかったり何かと不安だったりすることから『グループキャンプ』も人気です」
友達どうしや複数の家族でやるキャンプのことで、略して「グルキャン」と呼ばれる。複数は複数でも家族だけでやるキャンプは「ファミリーキャンプ」、略して「ファミキャン」というそうだ。
「お父さんのアウトドアスキルの見せどころですね(笑)」
キャンプといえば、テントの中で寝泊まりするイメージだが、日帰りで楽しむ「日帰りキャンプ」も、荷物が少なくて済むことから人気があるという。また、キャンプしている様子を自撮りした動画を配信する「キャンチューバー」という新手のYouTuberも現れている。
「コッヘル」「ケトル」「カッティングボード」…じつは台所にあるアレのこと
アウトドアの最大の楽しみは「食べる」こと。バーベキューが多いようだが、アウトドアに慣れた人なら、けっこう凝った料理もつくってしまう。そんなときに活躍するアイテムが「コッヘル」や「ケトル」といった調理器具である。
「聞きなれない人には、何のことかと思うでしょう?」
「コッヘル」は「クッカー」ともいって、野外用の鍋やフライパンのこと。なるべくコンパクトにおさまるように、小型軽量化されている。「ケトル」は、湯を沸かすための「やかん」のことで、やはり必要最小限に小型軽量化されている。「カッティングボード」は食材を切る際にのせる板、すなわち「まな板」のこと。これらの調理器具は大きさが違うだけで、どれも家の台所にあるものばかりだ。
「道具は違っても、技術的には同じことをやるだけです」
そしてテントや調理器具、その他アウトドア用品全般のことを「ギヤ」と呼ぶ。
ところで最近は『飯盒(はんごう)』を知らない若い人が多いという。
「いまは『アルファ米(まい)』がありますから、お湯さえ沸かせばいいみたいですね」
アウトドアの「食べる」「泊まる」に関する言葉
野外での食事といえば、バーベキューのイメージが強いし、キャンプの目的=バーベキューという場合も多い。
「グルキャンでワイワイやるのは楽しいですけど、仕込みと後始末が面倒で、それなりの道具も要ります。人里離れて静かにひとりの時間を過ごしたいだけの人は、『アルファ米』とか『フリーズドライ』で簡単に済ませることが多いみたいです」
「アルファ米」は「アルファ化米」ともいい、炊いたごはんに熱風をあてて急速に乾燥させたもの。お湯または水で戻せば、もとのごはんになる。
一方「フリーズドライ」は、乾燥させてお湯や水で戻して食べる方法は同じだが、製法が異なる。マイナス30度で急速に凍結させてから真空状態にすることで、水分を「昇華」させるのだ。
「どちらも水分が抜けているので軽いし、保存がききます」
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キャンプといっても、いわゆる「ねぐら」はテントだけではない。
「コテージ」や「バンガロー」に泊まるのも、広義ではキャンプなんです」
「コテージ」とは、外見が山小屋ふうで、中にシャワー・トイレ・キッチン・調理器具・冷蔵庫など、食材と調味料さえ持ち込んだら、自炊しながら生活できる設備が揃っている。
「バンガロー」は、小屋だけがあって、シャワー・トイレその他の設備は共同になっている。設備的にはテントと変わらない。
またテントでも「常設テント」といって、キャンプ場にあらかじめ設営されていて、利用者は料金を払うだけでキャンプ気分を楽しめるタイプもある。
ところで、キャンプに適したシーズンはあるのだろうか。
「キャンプ場の利用者が増えるのは、やはり夏ですけど、慣れた人は春と秋にやりますね。虫がいないし、冬ほど寒くないから快適なんですよ」