私たちが毎日あたり前に使っているペン、ノート、付箋、マーカーなどを総称して「文房具」という。では「“文房”って何のこと?」と尋ねられたとき、よどみなく答えられるかというと、なかなか厳しいのではないだろうか。今回は文房具の用語と、日ごろよく使うあの道具について文房具コレクターのBさんに伺った。
「文房具」「文具」「ステーショナリー」、呼び方はいろいろあるが…
「文房具」とは、鉛筆やペンなどの筆記具、紙、ノート、消しゴム、定規、古くは筆、硯(すずり)、墨など、主として書き物をするための道具をいう。もう少し解釈を広げて、書見台や開いた本のページを押さえておくページオープナーなど、読書をするための道具も含まれる。さらに、パソコンで文書を打つ機会が増えたことから、最近ではパソコンやタブレットを筆記具の一種とみなしたり、電子書籍を読むための端末機も含まれたりするようだ。
「英語でステーショナリー(stationery)という呼び方も一般化してきましたね。筆箱だって、ペンケースですよ」
分かっちゃいるけれど、あるていど年齢を重ねた人には、やはり「文房具」という響きになじみがある。
では「文房具」の「文房」って、いったい何のことなのだろう?
「本来の意味は読書をしたり書き物をしたりする部屋のことで、いわゆる書斎のことです」
なるほど、文房で使われる道具だから「文房具」というわけか。「文具」とも呼ばれるが、言葉の由来は同じと思われる。
余談ながら筆・硯・紙・墨の4つを「文房四宝(ぶんぼうしほう)」と称し、かつて「書(しょ)」を学ぶ者の必需品だった。この中でも、特に重んじられたのが硯だった。四宝のうち唯一消耗品ではなく、彫刻を施して芸術品として愛でることができたからだという。
誰もが使ったことがあるアレの一般名称は?
「ホチキスというのは、じつはメーカー名です。一般名称は『ステープラー』といいます。そしてホチキスの針は『ステープル』です」
日本産業規格(JIS)での一般名称が「ステープラー」なのだそうだ。
では「ホチキス」という呼び方は、どこからきたのか?
諸説あるが、発明者のベンジャミン・B・ホッチキス由来説が有名だ。アメリカ出身のホッチキスが、南北戦争後の1867年にフランスへ渡り、銃器メーカーを興した。そこで製造していた機関銃の送弾機構にヒントを得て、ステープラーの仕組みを思いついたという。
ところが実際には、当時すでに同様の文具があったともいわれていて、ホッチキスの発明品であることを裏付ける確たる証拠もない。
だったらなぜ日本で「ホチキス」と呼ばれているかというと、明治36年に初めて輸入されたステープラーがホッチキス社製だったから。
紙の判型にはA判とB判2種類ある
コピー機を使うとき「A4」とか「B5」とか、紙のサイズがいろいろあって、どれがどれくらいの大きさなのか咄嗟に分からなくならないだろうか。
書籍の判型は別として、事務用に使われている紙の判型はA判とB判の2種類ある。サイズを把握するには、下の図が簡単で分かりやすい。数字が大きくなるごとに、面積が2分の1になっていくだけ。
尚、B判の面積は、A判の面積の約1.5倍。例えば「A0(ゼロ)」の面積が約1平方メートルであるのに対し、「B0」の面積は約1.5平方メートルになっている。