「もう次の授業料払えない」「退学しか」…相次ぐ子どもの“悲鳴” 国や自治体は早急に支援拡大を

夜回り先生・水谷修/少数異見

水谷 修 水谷 修

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて首都圏などに再発令されている緊急事態宣言がさらに延長される。コロナ禍で経済的な打撃を受けた家庭も増える中、「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は「新型コロナウィルス感染拡大の中で苦しむ子どもたち」と題し、進学をあきらめ、退学を余儀なくされるなどの現実を踏まえて、就学支援の拡大や授業料に関する体制見直しなどを政府や自治体に訴えた。

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 私の元には、新型コロナウィルス感染拡大の中で、多くの子どもたちからの相談が続いています。相談というより悲鳴といったほうがいいかもしれません。

 飲食店でパートで働いていた母親が、政府の飲食店への時短要請の中で働く時間を減らされ、収入が減り、中学や高校に進学するけれども、制服や鞄などを購入するお金をどうするか悩んでいる。これから、大学や短大、専門学校を受験するが、親の収入が減り、入学金や最初の授業料を用意できそうにない。現在、大学や短大、専門学校に通っているが、親の収入やアルバイトの収入が減り、もう次の授業料を払うことができず、退学するしかない。このような相談が、日々たくさん届いています。

 子どもたちは、明日の私たちの国を支える宝物です。それを守ることは、私たち大人や政治の基本です。

 ぜひ、自治体や国にお願いしたいことがあります。早急に中学や高校に進学する生徒たちのために、そのために必要なお金を無利子で貸し付ける体制を作って欲しいと考えます。できれば、現在も就学支援というかたちで、一定の収入以下の家庭については、その援助が行われていますが、その枠をさらに拡大して欲しいと考えます。

 大学や短大、専門学校に入学する高校生に対しても、同様に無利子での入学金や当初の授業料について貸し付ける体制を作って欲しいと考えます。また、各大学、短大、専門学校には、入学金、当初の授業料等の徴収期限を、今年度だけでも、4月まで伸ばして欲しいと考えます。政府には、それに伴う各学校の不利益を補填する体制を作って欲しいと考えます。もし、このような体制をとることができれば、多くの子どもたちが救われます。

 この状況の中で、飲食業界、観光業界、交通業界が、特に業績悪化で苦しんでいます。政府は、これまで「Go to トラベル」、「Go to イート」など対策を打ってきました。また、現在の感染拡大の中では、飲食店の時短営業について現金給付を行っています。これ自体を責める気はありませんが、このように、苦しんでいる子どもたちへの対策は、まったく不十分に思えます。

 政府や自治体は、すぐにでも子どもたちの現状について調査し、子どもたちへのさまざまな支援をはじめて欲しいと考えます。子どもたちの夢を実現させるように守ることは、保護者だけでなく、私たち大人全員の義務です。子どもたちが笑顔と夢を失った国に明日はありません。

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