子どもの高校進学のために消費者金融で借金!?コロナ禍で浮き彫りになったシングルマザーの「情報格差」

長岡 杏果 長岡 杏果

シングルマザーにとって一番の悩みは経済的な問題ではないでしょうか?厚生労働省が2016(平成28)年に発表した『全国ひとり親世帯等調査結果報告』では、シングルマザーの平均年間収入は243万円と報告されています。さらに今年は新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけ、シングルマザーにとっては厳しい状況となっています。そんな状況のなか、ついに私の周りでもコロナ禍の影響により予想もしなかった出来事が起きてしまいました。

すこし前のことですが、16歳になる男の子がいるシングルマザーの友人から電話がありました。電話から聞こえてくる彼女の声には覇気がなく、「なにかあったな」とすぐに感じとれました。そして彼女は、「消費者金融からお金を借りてしまった」と打ち明けてくれました。

シングルマザーの貧困問題にコロナ禍が与えた影響

彼女はもともと体調面に不安を抱えていたこともあり、時短勤務のパート社員として働いていました。少ない給与のなかでなんとかやりくりをしていた彼女でしたが、そこに新型コロナウイルスの影響が及びます。

売上面で大きな打撃を受けた彼女の職場は、彼女を含めたパート社員の出勤日数を減らしました。急に収入が途絶えた彼女は途方に暮れました。そんな状況のなか、子どもの高校進学に必要なお金を払わなければいけませんでした。入学金、制服代、教科書代、部活の道具一式など合計で約35万円が必要でした。彼女は子どもに心配をかけたくないという一心で、お金に困っていることは一切話さなかったそうです。また、誰かに相談したいと思いながらも、お金の相談をすることは恥ずかしいと感じ、誰にも相談することができなかったのです。

そして彼女は、消費者金融から約40万円の借金をすることになったのです。

情報格差が起こっている現状

彼女の話を聞いて最初に感じたことは、同じシングルマザーであっても、そこには大きな情報格差が生まれているということです。

きっとこの話を読んでくださっている方のなかには、なぜ支援制度を利用しなかったのだろうと思う方もいるかもしれません。新型コロナウイルス感染症によりお金の面で影響がでている方を支援するため、緊急小口資金をはじめとする複数の支援制度があります。

しかし、友人のように制度を知らない人にとっては、お金は自分でどうにかするしかないという考えになってしまいます。

シングルマザーや低所得者が使える制度が広く周知されていない現状を浮き彫りにした出来事だと思いました。

まずは住んでいる自治体に相談しましょう

私は仕事柄、ある程度支援制度については知っています。そのため、彼女に使える制度があることを伝えました。

制度については自分で調べようと思うと時間がかかりますので、まずはお住まいの市区町村の子育て支援課などに、いま抱えている悩みを相談してみることをおすすめします。

ひとり親が無利子で貸付を受けることができる『母子父子寡婦福祉資金貸付制度』の利用もひとつの方法かもしれません。

友人もその後すぐに自治体に相談に向かいました。窓口で対応してくれた職員の方は、とても親切だったと話していました。

彼女が消費者金融からお金を借りなければいけない状況に陥った理由は、世界的なパンデミックと日本のシングルマザーが抱える貧困問題・情報格差問題が重なってしまったことにあると思います。

しかし今すぐにこれらの社会問題を解決することはできません。またすべての情報を鵜呑みにするわけにもいきません。上手に情報をキャッチし、その情報が自分にとってよいものであるかどうかを見極める力が必要です。一人で悩まず相談することも、情報をキャッチできる手段のひとつといえるのではないでしょうか。

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