園児の手の甲に点数記入 運動会練習の意欲、教諭が採点

どなどな探検隊(パートナー記事)

神戸新聞社 神戸新聞社
兵庫県香美町の町立幼稚園での指導を巡り、神戸新聞が入手した記録文書。教諭が説明した指導の意図や反省の言葉が並ぶ
兵庫県香美町の町立幼稚園での指導を巡り、神戸新聞が入手した記録文書。教諭が説明した指導の意図や反省の言葉が並ぶ

 10月上旬には保護者会が開かれ、教諭が謝罪。点数を書く指導は行わないなどの改善策が示された。

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 一連の指導の問題点について、日本乳幼児教育学会会長を務める関西学院大学の日浦直美教授(幼児教育学)は、教諭の「子ども観」に着目。「社会的に弱い立場にある子どもを保護して導く対象とのみ捉えると、大人の思いや都合が優先されてしまう」とし、「大人の考えに従わせるやり方が慣例になると、良かれと思う指導が権利を侵害しかねない」と問題提起する。

 さらに「子どもの権利条約」で保障された、子どもが自由に意見を表明する権利などを引き合いに、運動会へのやる気を引き出す上では本来、「園児の興味関心が向くことや楽しめることを重視し、話し合ってプログラムを調整する必要がある」と提言する。

 運動会以降、保護者の子どもは欠席が続く。保護者は町教委に転園を要望している。

【子どもの権利条約】18歳未満全ての人の保護と基本的人権の尊重を目的とする国際条約。1989年に国連総会で採択され、90年に発効した。子どもを大人と同様の権利を持つ主体と認めている点が特徴。差別や虐待の禁止などを条文で規定しており、日本は94年に批准した。今年9月現在の締約国・地域数は196。

■評価基準なく論外

【兵庫教育大学大学院・石野秀明教授(発達心理学)の話】点数による評価は、自他の能力を客観的に評価することがまだ困難な発達段階である幼児には即さない。評価基準がないのは論外で、園児の意思に関係なく、比較して点数を目に見える形で記入しているのも問題だ。幼稚園教育要領は、人間形成の基礎となる心情や意欲を育むことに重きを置く。その子にしかない良さを言葉で伝え、認める評価が重要である。

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