流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「コロナ禍消費の変化」がテーマ。新型コロナウイルスの感染拡大によって消費活動はどのように変わったのか。渡辺氏が解説する。
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商談や取材がある時以外は外出しないので、自宅にいる時間が圧倒的に伸びました。妻はパート、次男は中学も始まったので自宅を空けることも多くなりましたが、大学生の長男はネット授業のため同じく自宅にいます。そんな感じのため、インターネット通販宅配便には頻繁に配達してもらっています。
ヤマト運輸の宅急便取扱量も5月は約1・6億個(前年19・5%増)。 6月は、約1・7億個(前年18・7%増)と、外出自粛が本格的に解除されてからの数字は気になりますが、コロナ禍によりインターネット通販が消費習慣としてより根付いているのは間違いないでしょう。
AmazonプライムやNetflixなどの動画配信も同様ですが、イオンシネマは映画界の常識を覆す新サービスを7月3日~31日の期間限定でスタートしました。1枚2500円のチケットで映画観放題、さらにソフトドリンク飲み放題。大きなスクリーンで迫力ある映画を観ることに飢えていたので、フリーランスの特権を活かし、平日に綿密に計画を立てて利用してみたいと思います。
知り合いの居酒屋では外出自粛制限時は昼のランチ弁当を実施していましたが、夜のアルコールと利益は変わらないのに、手間がかかるため展開を辞めてしまった店がありました。費用対効果を考えるとやむを得ないとの見方もある一方 コロナ禍で家飲みが増えて、コンビニ各社の酒類の売り上げは前年比120%前後と好調に推移しています。外食と比較すると、コンビニでは圧倒的にアルコール飲料が安く手に入るため、これからのサラリーの不安を抱える人が多い現状、外飲みの回数はコロナ前と比較してかなり減る状況が継続することは間違いありません。
車の王者・トヨタ自動車も車を売った方がよいにも関わらず、サブスクリプションサービスのKINTOのテレビCMを大量に投下。消費の変わり目を感じずにはいられません。
今後、元の消費スタイルには戻るとは考えづらいですから、顧客に合わせて試行錯誤しながら新しいサービスを模索してく企業のみが生き残っていくのではないでしょうか?