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300万円で「難病の猫を救いたい」、クラファンに協力したのに→実は猫なんて飼ってなかった…… これって返金してもらえますか?【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

猫好きのAさんは、ある日の仕事帰りにSNSで流れてきた痛々しい投稿に目を止めました。その内容は「愛猫の命を救いたい。難病の緊急手術に300万円が必要です」というものです。そこには、管につながれ苦しそうに横たわる子猫の写真と、飼い主の悲痛な叫びが綴られていました。

自身も猫を飼っているAさんは、これを他人事とは思えず「少しでも力になれれば」と生活費から5万円をクラウドファンディングで支援します。プロジェクトは見事に目標金額を達成し、多くの人々が猫の回復を祈っていました。

しかし数カ月後、事態は一変します。ネット上で有志による調査が進むと、「掲載された写真は海外のサイトからの転載」「そもそも主催者は猫を飼っていない」という衝撃の事実が告発されたのです。Aさんが慌てて確認すると、主催者のSNSアカウントは削除され、連絡も一切取れない状態になっていました。

こうした嘘の訴えで資金を集める行為は、法的にどのような罪に問われるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

嘘のクラファンは「詐欺罪」にあたるのか

ー嘘の病気や事業計画を掲げて資金を集める行為は、刑法上の「詐欺罪」にあたりますか?

「詐欺罪」に該当する可能性が高いと考えます。

詐欺罪が成立するには、人を欺く行為(欺罔)、相手が騙されること(錯誤)、騙されたことによって財物を交付すること(処分行為)、財物の移転、というプロセスが必要です。

このケースでは、最初から猫が病気ではない、あるいは猫自体が存在しないにもかかわらず、「手術費用が必要」と偽って支援金を募っています。これは支援者を騙して金銭を差し出させる行為であり、典型的な詐欺の手口と言えます。

ーもし詐欺罪で立件された場合、どのような罰則が科されますか?

刑法第246条により、詐欺罪の罰則は「10年以下の懲役」と定められています。窃盗罪などと異なり、罰金刑の規定がないのが特徴で、起訴されて有罪になれば執行猶予がつかない限り刑務所に収容される重い罪です。

実際に、犬の治療費と偽って現金を騙し取ろうとした男が詐欺容疑で逮捕された事例もあります。このケースでは、既に犬が死んでいたにも関わらず、クラウドファンディングを利用して寄付を募った点が悪質とみなされました。

組織的におこなっていたり、被害総額が大きかったりする場合は、実刑判決が下される可能性も十分にあります。

ーAさんのように騙された支援者は、主催者に対して返金を求めることができますか?

法的には、不法行為に基づく損害賠償請求、あるいは不当利得返還請求として、支払ったお金の返還を求めることができます。

しかし、現実的な問題として、返金を受けられるかどうかは「相手に支払い能力があるか」にかかっています。詐欺を働くような人物は、集めた金をすでに使い果たしていたり、最初から資産を隠していたりすることがほとんどです。

また、クラウドファンディングのプラットフォーム運営会社も、基本的にはプロジェクトの真偽について一切の責任を負わないとする規約を設けていることが多く、運営側から返金を受けるのも容易ではありません。

まずは同じ被害に遭った人たちと情報共有をし、警察へ被害届を出すとともに、弁護士を通じて相手の資産を差し押さえるなどの迅速な対応が必要になります。

◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士 
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

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