アスリートの間で愛されているウエアがいま、人気商品となっている。新型コロナウイルスの完全終息はまだ見えない。ステイホームはいまや常用語。緊急事態宣言が解除された以降も、在宅勤務が続いている人も多いようだ。そんなおうち時間は、少しでもリラックスしたい。ネットを中心に話題が広がり、爆発的なヒット商品になりつつあるのが、株式会社コラントッテ(本社・大阪市)から発売されている休息時専用「コラントッテ RESNO スイッチングウエア」だ。
それも、そのはず。名だたるプロアスリートたちが絶賛している。例えばスキージャンプのレジェンドで、史上最多8度のオリンピックに出場した葛西紀明選手は、日々の生活に欠かせなくなったという。「長い現役生活の中で、がむしゃらにトレーニングする時期もあったけど、そういう時は返って結果が出なかった。年を重ねていく中で休むこと、ケアすることの大切さがわかった。スイッチングウエアは血流が促進されているのがわかり、首や肩の緊張も和らいで助かっています」
阪神では梅野隆太郎捕手や、北條史也内野手、フィギュアスケートの宇野昌磨選手や、卓球の伊藤美誠選手などがコラントッテの磁気製品を使用している。トップアスリートたちが愛してやまない、そんな会社を追ってみると、浪速の町で闘ってきた男たちの苦悩と、苦労の日々があった。
「父親の痛みを、少しでも緩和させたい」
創業者の小松克已代表取締役が、同社を設立したのが1997年。以前は建設会社を経営していたが、バブルが崩壊。取引先からの未払いが発生した結果、会社を倒産させた経験があった。そんな中、父が病に倒れるなど不幸が続く。「寝込んでいた父親の痛みを、少しでも緩和させたい」と、磁気治療器を探し回った。だが、従来の家庭用磁気治療器では効果に納得がいかず、一念発起して製品作りに乗り出した。試行錯誤を繰り返す中で、磁石のN極S極を交互に配列する手法を発見。試作品のタンクトップと、ウエストベルトを着せたところ、驚くことに痛みが軽くなったという。
社名は大阪弁の『肩、こらんとって』が由来
父親の笑顔が製品化への勇気を与えた。同社の広報グループ・坂田英祐さんに聞けば「社名にもなっている『コラントッテ』は、大阪弁の『肩、こらんとって』が由来なんです」と明かす。大切な人を気遣う言葉を、ブランド名にも名付けた。製品には絶対的な自信があった。磁気製品といえば隠して使用するものが主流だったが、アクセサリーとして、スペックだけでなく、デザインにもこだわっている。ただ、ゴルフ業界では認知されていたが、なかなか一般的に普及しない。2016年にはいまや、同社の看板商品にもなった「コラントッテ TAOネックレス AURA」を発売。ただ、スポーツ業界の売り上げの落ち込みや競合の増加もあり、売り上げは苦戦していた。
だが、2017年。転機は突然訪れた。以前から、同社のネックレスを愛用していた広島・菊池涼介内野手が、デザインを気に入り試合中にも着用し始めた。侍JAPANの主力として活躍した第4回のWBC。TAOネックレスAURAプレミアムゴールドを着用し(画像)攻守で活躍、日本の快進撃の立役者になった。その後、他の選手からも「使ってみたい」と連絡が入り、そこから多くの選手に広がりを見せる。菊池選手がスーパープレーを披露し、世界から「魔法使い」と称賛されたオランダ戦の翌日。担当者も想像すらしていなかった事態が起きた。
「オランダ戦の翌日でした。会社に行くと、生産が追い付かない程の発注が届いたんです。受注のFAXとメールの山。本当に驚きの光景でした」