「分目」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
◇ ◇
日本人の名字を50音順に並べたとき、一番最後になるのが「分目」である。ただし、「わかれめ」「わけめ」ではない。それだと、「和田」や「渡辺」より前になってしまう。
50音順最後の名字というのはしばしば話題となる。ネット上では「兼坂」で「んねさか」と読むなど、「ん」で始まる名字が紹介されることがあるが、残念ながらそれらは実在しない。実在する名字としては「分目」が最後で、「わんめ」と読む。
ルーツは地名で、上総国市原郡分目、現在の千葉県市原市分目である。江戸時代以前からある地名で、その由来はおそらく道の分かれ目のことで、それがなまって「わんめ」となったものだろう。現在でも、市原市の他、木更津市、君津市などにある。
なお、外国には「ン」で始まる名字はある。アフリカには「N'D~」で始まる地名や名字があり、これらをカタカナにするときは、「ヌ~」と書く場合と「ン~」と書く場合があるのだ。チャドの首都N'Djamenaは、かつては「ヌジャメナ」とされたが、今では「ンジャメナ」と書くことも多い。
ただし、アルファベットの最後は「Z」なので、諸外国ではこうした地名や名字には、「排列の最後」という感覚はない。