「本当のことを言ってくれ これ、、、ズレてるよな?夢じゃないよな?夢だよな?」
自動販売機から出て来た50円玉を見た、ある高校生のつぶやきがツイッター上で話題を集めています。その50円玉は、中央の穴が本来の位置から2㎜ほどずれています。写真だけでも驚きですが、実はコレクターの間では「穴ずれ」として人気の“お宝”コインなのだとか。ご本人や造幣局にも取材してみました。
ツイートしたのは、石井('ω')ワイ【貨幣コレクター】だからな笑(@ISHIISAN209)さん。今月1日にその激レア50円玉の写真とともに投稿したところ、これまでに1.3万リツイート、8万いいねが寄せられ「ゆめじゃありません!」「うらやましい!」の声が続々と。実は1年前にも、一般流通用の発行がされずプレミア硬貨として知られる「昭和62年の50円玉」も手にしたそうで「この調子なら宝くじの上位等級が当たるかも」なんてリプライも。本当にあやかりたいところですが…
―これは、いつ発見したのですか?
「6月1日の昼ごろ、JR立川駅の中央線ホーム上の自販機です。ジュースを買ったお釣りだったのですが、現実とは思えなくて、ツイートの通り夢だと思ってました(笑)いつもの“収穫”ツイートのつもりがここまで伸びるなんて、驚きしかないです」
―私は初めて見たんですが、以前にも見つけたことは?これでも自販機を通るんですね。
「去年の9月2日に平成8年の1mmズレを、JR横浜線長津田駅のホーム上の自販機から見つけました。2mmズレだとその機械によって通ったり通らなかったりって感じだと思います。ちなみに、この50円玉には、銀行用に50枚ずつのロールを作る際に端の硬貨に丸く傷が付いてしまう『ロール傷』も。1円玉にはよくあるんですけどね」
―な…なるほど…。でもどれぐらいのレア度なんでしょう。
「先程の1mmズレのエラーで約5万枚に1枚あるかないかと言われてるので、恐らく数百万枚探してあるかどうかだと思います。価格でいえば、5~10万円というところでしょうか。令和の時代で2mmズレは本当に宝くじの高額当選よりも難しいかもしれないです」
造幣局によると、50円玉は中心の穴を開けてから全体を打ち抜いて製造。計数機にかける際、センサーで汚れや傷、曲がりがあるものをはじいているそうです。現在では画像認識など精度も向上し「硬貨全体で年間10億枚ほど製造するうち、検査をすり抜けて流通するのは1~2枚あるかどうか」とも。ただ今回の50円玉は「昭和56年」製造のため、「当時は人間の目でチェックをしていたので、今ほど精度は高くないかもしれません」といいます。
一方、今回のツイートのリプライには「小学生の頃、こんな50円玉を持っていたのに、祖母が集金で使っちゃったんです」「もしかしてその50円玉が人から人へと渡ってここで再会したのかも」なんて心温まる書き込みも寄せられました。
ちなみに、石井さんが貨幣にハマったのは「一昨年の夏頃、学校の購買で聖徳太子の1万円札を使った人がいて、それを購買の人に両替してもらったのがきっかけ」とか。「本格的にハマったのは去年の春頃から」といい、今の推し貨幣は「やっぱり2000円札です!」と即答。「よく珍しいとか言われていますけど、現在でも銀行で両替可能ですし、肖像に建造物が描かれたのはA号10円札以来なので結構気に入ってます。あと、2000円札には左上と右下で記号が違う通称JL券というのがあり、それが未使用で約20万円ほどになるというのが夢があって面白いですし、もっと広く流通して欲しいです」と止まりません。
素人には???だらけですが、いつもお世話になっている貨幣にそんな違いがあったなんて。「貨幣の歴史を辿ると日本の歴史や少し海外の歴史にまで触れられるのが貨幣の魅力」と石井さん。「その時代にどんな人が使ってきたかなど考えるのも楽しいです。それと、今回のように珍しいものが見つかった時の興奮がたまりません」と話してくれました。
なんとも、奥が深い…。