保護団体がオンライン譲渡会への参加を呼びかけ このままでは動物の行き場がなくなる

木村 遼 木村 遼

 新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出自粛で、保護犬や保護猫がピンチに陥っている。定期的に開催されていた「譲渡会」の中止が全国的に相次いでいるからだ。このままでは里親との接点がなくなり、譲渡先がなくなってしまう。そんな中、注目を集め始めているのが「オンライン譲渡会」だ。現在は猫の出産ラッシュの季節でもある。コロナの収束が見通せない中、私たちも5月17日にオンライン譲渡会を開催することにした。保護活動の救世主となってほしい。

 譲渡会とは保護した犬や猫を里親希望の家族に譲り、家族として迎えるという取り組み。「殺処分ゼロ」を目指し年々、全国的な広がりを見せてきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響により、人を集めた譲渡イベントが開催できなくなった。また里親との出会いの場でもあった保護猫カフェも来店客が激減し、経営継続があやしくなってきている。

 譲渡会がないということは、すなわち殺処分を避けるために保護された犬や猫が行き場を失うことを意味する。ましてや、いまは猫の出産ラッシュ。新しい命を保護することができなくなるのは一大事だ。実際に私たちの団体にも「自粛がいつまで続くか分からない中、このままだと動物たちにしわ寄せが行く。譲渡会に代わる何かができないでしょうか」と問い合わせもあった。

 そんな中、海外からこんなニュースが飛び込んできた。コロナ影響下にもかかわらず、アメリカやオーストラリアのある動物愛護団体では里親希望の申請が200%~300%上昇したという。調べてみると、アメリカの団体では新型コロナの大流行が及ぼす影響を事前に察知。シェルター内の動物を可能な限り譲渡し、減らす取り組みをしたことで、その後の「シェルター崩壊」を防ぐことができた。

 もちろん、すべてが譲渡になったわけではなかった。一時預かりをするボランティアの資格を緩め、期間限定の特別枠を設けることでハードルを下げ、預かりのボランティアを増やした。犬や猫の預かりをするボランティアという形で迎えることで愛情がわき、家族としてそのまま迎えることもあったという。

 その背景には新型コロナで家にいる時間が長くなり、動物を家族として迎えるという選択肢が増えたことも一因か。しかし、この取り組みが成功したのは保護犬や保護猫を家族に迎えるという考え方が根付いているからだろう。その一方で無責任な飼い方を防止するため、譲渡は慎重に行う必要があるのは言うまでもないが。

 もっとも、日本では一部報道にもあったように、新型コロナの影響で家にいる単なる寂しさからレンタルペットを求める人もいる。ペットショップに足を運び、衝動的に安易に動物を買う人も多いそうだ。

 このような状況を考えると、保護犬や保護猫の譲渡活動を止めず、できれば促進させる必要があるだろう。しかも今の時期は猫の出産ラッシュ。急がなければならない。

 そこで注目したのが「オンライン譲渡会」だ。これはSNSを利用したネット上の譲渡会。様々な団体が取り組み始めており、動画で犬や猫を紹介し、里親を募集する。気軽に参加できることが何よりの利点だ。

 これまで譲渡会に興味がありながら行けなかった人も、どこにいても手軽にスマホやパソコンがあれば、参加ができる。犬や猫は性格がさまざまで、譲渡会では緊張して、中には普段のかわいらしさをアピールできない子もいるが、ありのままの様子を見られることも大きなポイントだ。

 現在も保護団体によっては“3密”を避けながら保護犬や保護猫の見学が可能な団体もある。団体によって対応はそれぞれであるため、気になる方は近くの愛護団体に問い合わせるといいだろう。

 私たちの団体では、5月17日にSNSによる「オンライン譲渡会」を初開催予定。ぜひ視聴し、保護猫のかわいさを感じていただければ幸いです。

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