バーやスナックで「オンライン営業」相次ぎ登場 休業要請で売上減、ママ「外出自粛のストレス発散して」

辻 智也 辻 智也

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国的に「夜の飲食店」の休業要請が呼びかけられる中、店に行かずともマスターやママと飲んで話せる「オンライン」のバーやスナックが注目を集めている。コロナ禍の終息まで、客とのつながりを切らさないだけでなく、「外出自粛でストレスがたまるので、色んな思いを発散できる場になれば」との思いが込められている。

 京都市の繁華街・木屋町のバー「Bar Paper Moon(ペーパームーン)」は8日、ビデオ会議アプリ「ズーム」を使った「オンライン営業」を始めた。ネット上で日時を予約し、事前に料金を支払うことで、店舗に行かなくてもスマホやパソコンでママと一定時間会話ができる。50分2千円など複数のコースがあり、チップのシステムもある。1人でもグループでも利用できる。

 ペーパームーンはもともと外国人客が多かったため、客足は3月末頃から通常の10分の1程度に落ち込み、「売り上げはガタガタ」に。ママの女性は「いつ緊急事態宣言による休業要請が出てもおかしくないので、それを見据えて試行錯誤で始めた」という。

 13日現在で、利用したのはまだ6組だが、予約もちらほら入ってきている。「お客さんにお酒を用意してもらうのは恐縮だが、店の空気や会話も『味わいのうち』と思っていただければ」とし、「外出自粛要請が続く中、気分転換に使ってほしい」と呼び掛ける。

 オンライン営業の「お粥さんBar京楽」を1日に始めたのは、左京区でゲストハウスを経営するユキさん(仮名)。こちらも「ズーム」を使い、複数客とユキさんが同時に会話できるシステムだ。参加料は1人500円で、「投げ銭」のようにチップの送金もできる。事前に開催をフェイスブックなどで告知し、「飲み物はビール」「食事は鍋」などのルールを決めて数時間会話を楽しむ。

 ユキさんは2年前まで、木屋町で同名のバーを経営し、ママとしてカウンターに立っていた。今回、夜の街の利用自粛が強く呼び掛けられる中、「飲み屋の役割は酒食の提供だけではない。ストレスを発散したり、独特の人間関係を楽しむという面もある」と考え、オンライン営業という形で店を復活させた。

 これまで3回開き、利用者は延べ二十数人。ユキさんは「正直、お金になるとはあまり思わないが、人と人との温かい言葉の掛け合いをつないでおいた方がいいと思う。私自身、画面の向こうのお客さんと乾杯することで明るい気持ちになりました」と話し、今後は毎週日曜に「開店」する予定という。

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