キャバクラが食券制になるんだって!?夜の盛り場でそんな話を聞いて耳を疑った。なんでもSNSで話題になっているのだという。さっそくパソコンを開いた。ツイッターでは「2020年から税務署の指導で全国のキャバクラが食券機制になると、NHKのニュースで報じられた」というツイートが1月後半から2月に入っても続き、今も拡散されている。真偽はともかく、話題になっていることは事実。裏取りをし、その背景を探った。
その書き込まれた内容以上に反響があったのが、大学の学食やラーメン店にあるような食券の券売機の画像が添付されていたこと。食券のボタンには「ドンペリ40000円」など高価な酒の銘柄が書かれており、一足先にキャバクラに導入された“物証”であるかのような印象を見る人に植え付けたようだ。
投稿者には経営者も兼ねる“カリスマキャバ嬢”や業界にいたというプロフィールの女性らも含まれており、中にはリツイートが1万5000件、「いいね」が2万5000件以上という人もいた。
書き込まれたコメントを見ると、「先払いなら『頼んだ覚えない』という押し問答はおこらない」という肯定的な意見の一方で、「諭吉1枚いれるごとに夢からさめそう」「高いお酒ってその場のノリで頼んじゃう所に面白さがあるんだけどな」「買いにいかされる間に冷めてしまう」といった声もあった。
ネット上では「まとめサイト」まで登場。「税務署」「NHK」「2020年」という3つのキーワードによって信ぴょう性をアピールしていた。不明瞭な売り上げをクリアにして税収入を確保したい税務署の意向や、20年の東京五輪に向けて綱紀粛正を図りたい行政や警察の思惑があるのではないかと想定させる時代背景も“キャバクラ食券制”説を後押ししたようだ。
そこで、税務署の上部組織である国税庁と、報道があったとされるNHKに事実関係を確認した。国税庁の広報担当は「その内容自体を存じておりませんので、お答えしようがありません」と事実関係を否定。NHKにも質問状を送ったが、広報部からは「ご指摘の内容を報道した事実はありません」という回答が返ってきた。