いつも失敗→逃げる→自己肯定感の低下…「負のループ」を避ける褒め方は?【発達特性ある子の子育て】

西村 猛 西村 猛

 

 私の運営する発達支援事業所では、「褒める」ことをとても大切にしています。なぜなら、子どもの状況に合わせて上手く褒めることができると、子どもが認められ感を持ち、「新しいことに挑戦する力」が湧くだけでなく、「苦手なことも取り組んでみよう」という気持ちを育てることができるからです。

 しかし、一口に褒めるといっても、「とりあえず褒めておけばいい」というものではありません。実は褒めることには、2つの方法があります。ひとつは「結果を褒める」こと、もうひとつは「プロセスを褒める」ことです。今回は、この2つの褒めるのうち、発達特性のあるお子さんに合った「褒め方」とそのメリットについて、ご紹介します。

【2つの褒める】

1:結果を褒める

 物事の到達度や、クリアしたことを褒める方法です。例えばスイミングのタイムが早くなった、テストの点数が高かったなどです。子ども自身も結果(変化)が分かりやすいため、自分に自信を持つことにつながります。

2:プロセスを褒める

 結果に関わらず、その活動に取り組んだ気持ちや様子を褒める方法です。例えば新しいスポーツに挑戦しようとした気持ち、好きなことや勉強にコツコツ取り組んだこと、などです。気持ちや努力したことを褒めるため、結果如何に関わらず認められ感を感じることができます。

 

【発達特性のある子どもは失敗経験が多いため、プロセスを褒めるのが効果的】

 子どもは、いろいろな経験を重ねて発達していくものですが、その経験を積むために大切になるものが、「好奇心」「挑戦しようとする気持ち」です。

 しかし、発達特性のある子どもは、手先の不器用さや目のコントロール力の弱さなどを併せ持っていることが多く、これまでの生活で、失敗することを多く経験しています。そのため、「もう失敗したくない」「失敗するくらいなら、初めから挑戦しない」といった気持ちを持ちやすく、これがさらに経験する機会を減らしてしまうことにつながっていきます。そうなると、取り組むべきことから、つい逃げ出したくなってしまうことが多くなります。

 例えば、私の発達支援事業所でも、自分に自信がないお子さんの多くが「できない」と予測する課題から逃げようとする場面が多く見られます。課題から逃げる方法としては「その場から離れる(離席する)」「笑ってごまかす」「ふざける」など、子どもなりにいろいろと考えている様子がうかがえます。

 実はそういった反応の根底には、「自分はできない」「失敗したら嫌(または恥ずかしい)」などの気持ちが隠れていることが多いのですが、このような子どもの心の奥底にある気持ちは、周りから理解されにくく、「やればできる」「頑張りなさい」と声をかけられることで、余計に自信を失くしていくことがあります。こういったことを繰り返すたびに、やがて子どもの気持ちの中から「挑戦する勇気」が失われていき、挑戦することをさらに恐れる子どもになる、という負のループに陥ってしまいます。 

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