ジャンプできない、はさみが使えない…それって「発達性協調運動障害」かも…効果的な運動やNGな声掛けを解説

西村 猛 西村 猛

 私は、全国各地の保育園やこども園で、保育士さん向けに乳幼児の運動発達に関する講義を行なっています。その質疑応答の際、「何もないところですぐに転ぶ」「手先が極端に不器用」といったご質問をいただくことが多くあり、保育における課題になっている事例が多いことを実感します。

 実は、こういった体の使い方が難しかったり、不器用なお子さんの中には「発達性協調運動障害」という特性が潜んでいることがあります。今回は、その特徴と対応方法について、ご紹介します。

発達性協調運動障害とは?

 「脳性まひや神経や筋肉の病気など、何らかの診断名が付いていないにも関わらず、日常生活に支障がでるほどの不器用さがある状態」を指します。もっと端的に表現すると、「極端に不器用な状態」です。たとえば、「靴の紐が結べない」「何もないところですぐに転んでしまい歯や頭を打つ」などの状態を指します。

 多くの研究から、発達性協調運動障害を持つ子どもは、子ども全体の6~10%程度存在するといわれています。また自閉症スペクトラムなどの発達障害と呼ばれる障害を同時に抱えているケースも多く見られるといわれています。

筋肉の協調した働きができない

 発達性協調運動障害のある子どもは、体の各部分や筋肉を協調して働かせる活動(協調活動)が上手ではないとう特徴があります。

1.粗大運動における不器用さ

粗大運動とは、大きな動き、ダイナミックな動きがなめらかに行えないことによります。具体的には、ジャンプが上手くできない、縄跳びが上手く跳べない、ラジオ体操の動きがぎこちない、などです。

2.手先の不器用さ

一般的に「不器用」といえば、この指先の使いにくさのことを指します。具体的には、靴の紐が上手く結べない、字が綺麗に(丁寧に)書けない、はさみが上手く使えない、などです。

発達性協調運動障害に対する運動プログラム 

 発達性協調運動障害による不器用さは、筋力が弱さに由来しているわけではありませんので、いわゆる筋トレは効果的とは言えません。運動プログラムとしては、体のどこに課題があり、どの部分が上手く使えていないかといったことをしっかりと評価してもらった上で、理学療法士や作業療法士の指導を受けるのがよいでしょう。なお、医療機関や療育機関で指導を受ける場合は、医師の診察を受けた上で、指導の適否について判断してもらってください。

 手先の不器用さがある場合は、作業療法士指導の下、手先を上手くコントロールするためのプログラムが実施されます。

 

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