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21歳女性、プロポーズの2日後に告げられた「ステージ4の希少がん」 闘病を語った理由

そんでなライターズ そんでなライターズ

数年前から首や顔の痛みに悩まされていた21歳の女性が、病院で検査を受けた結果、ステージ4の希少がんと診断された。しかも告知されたのは恋人からプロポーズを受けた2日後——。そんな衝撃的なエピソードとともに、闘病の経過や治療について語った動画がYouTubeに投稿され、注目を集めています。

投稿したのは、闘病生活についてYouTubeチャンネル「うーたん日記(@うーたん21希少がん右顔麻痺)」で発信している、うーたんさん(現在22歳)です。

自分の病気の経験をYouTubeで発信しようと決めたきっかけについて、うーたんさんは「自分のように、病気が進行してから気づき、人生が大きく変わってしまう人を一人でも減らしたい。そんな思いが強くあります」と話します。希少がんという特性から、同じ病気の人の情報がほとんど見つからず、闘病にあたって情報収集に苦労したり孤独を感じた経験も、発信を始めた背景にはありました。

「頭・眉毛・まつげ等が脱毛しているなど、容姿の変化を伴うため、ありのまま伝えるには文字よりも動画の方がより伝わりやすいと思いました」

体の異変は高校生の頃から

うーたんさんの体の異変は、高校生の頃から始まっていたそう。首のあたりから頬や顎にかけて、強い圧力で握られるような痛みや、電気が走るような感覚、鈍器で殴られたような激痛が繰り返し起きていたといいます。「一番辛い時期は、痛みで夜もほとんど眠れませんでした」と振り返るうーたんさん。医療用麻薬や鎮痛剤を使っても20分おきに目が覚め、眠れるのは2時間ほどの状態が続いていました。日中も痛みに耐えるだけで精一杯の状態だったそうです。

しかし、いくつもの病院を受診しても、診断結果は「肩こり」や「三叉神経痛」だったといいます。しかし当時は受験勉強で同じ姿勢が続いていたこともあり、「肩こり」という診断を受け入れてしまったといいます。数年経っても痛みは消えず、範囲も広がっていくばかり―。

「いろいろな病院へ行き、いろいろな科にかかって検査をして。でも診断を受けて薬をもらっても痛みが改善せず、もどかしい思いでいました」

当初は「大きな病気だったらどうしよう」と不安もあったそうですが、次第に「大きな病気であったとしても、とにかく早く原因が分かってほしい。正しい診断を受けて、早く治療を始めて痛みから解放してほしい」という思いが強くなっていったといいます。

歯科のレントゲン “白い影”が転機

転機となったのは、2024年に顎関節症の疑いで受診した歯科医院でした。レントゲンに映った“白い影”をきっかけに大学病院を紹介され、7月に悪性の耳下腺腫瘍、さらに8月には肺への多発転移が判明。

「『まさか自分が、がんなんて…』と思いました。幼稚園から大学まで無遅刻無欠席の健康優良児だったので、自分に悪性腫瘍があり、しかも転移していて、ステージ4の癌だなんて信じられませんでした。今もまだどこかで『夢なんじゃないか』『夢であってほしい』『なぜ自分が…』と、信じられていないような、信じたくないような思いもあります」

今でも時には、“もっと早く正しい診断がほしかった”という思いがあると正直に語ります。

「希少がんであり、発見も治療も難しいことは分かっており、発見が遅れたことは仕方ないとも思います。医療者を責める気持ちはありませんが、もう少し早ければ転移なく対処できたかもしれない、とはどこかで思ってしまいます」

プロポーズの2日後に告げられた現実

さらにうーたんさんを苦しめることとなったのは、がんの告知を受けたタイミング。付き合っている恋人からプロポーズを受けた、わずか2日後のことだったのです。恋人には、大泣きしながら事実を伝えたといいます。

「彼に残酷な事実を自分の口から伝えなければならないことが、本当に苦しかったです。しかし、隠すという選択肢はありませんでした。病気になったことで、こんな大変な日々に付き合ってもらうことになった申し訳なさは、今も消えません」

一方で、がんを打ち明けられた恋人も大きな衝撃を受け、二人で何日も涙を流したといいます。しかし「この世の終わりだと思った」と言いつつも、「今は悲しんでいるより、日々を大切に、幸せな時間を1分1秒でも多く過ごそう」「仮に短くても、誰よりも幸せな人生だったと思えるように、濃い時間を送れるように全力で幸せに生きよう」という言葉をかけ、うーたんさんを支えてくれたそう。

「今も彼に対して、『私がこんなことにならなければ、もっと普通の幸せがあったのに…』『私の大変な人生に巻き込んでしまっているな…』と思ってしまう時があります。それでも、私が彼に今できることは、とにかく病気を良くするために治療や体調管理へ最大限に取り組むこと。そして療養しながらも、その時その時でできる範囲で、たくさんの楽しい思い出を一緒に作ることだと思っているので、そう言い聞かせて日々、自分にできることに注力しています」

それでも申し訳なさを強く感じて悩んだ時は、恋人に直接そのことを話すようにしているそうです。

「根本的な解決にはならなくても、たまに真剣にお互いが今思っていることを話すことで、少し気持ちが軽くなります」

治療と向き合う日々のなかで

こうして始まった闘病生活では、治療の選択、外見の変化、副作用、将来への不安など、数え切れないほどの困難があったといいます。顔の神経や顎の骨を切除し、脚から筋肉や脂肪を移植する大きな手術を受けたほか、放射線治療や抗がん剤治療も経験。それでも家族や恋人、親友の存在が支えになっていると話します。

「家族も恋人も親友も、どんなに私の見た目が変わっても変わらず、嫌がることなくどこへでも一緒に行ってくれます。私が辛い時は一緒に美味しいものを食べに行ってくれたり、話を聞いてくれたり、また前を向けるように解決策を考えてくれたり、日々、最高の思い出を作ろうとしてくれます。私はこんな素敵な人たちに囲まれた幸せ者です。彼らのためにも生きることを諦めたくないと思い、また頑張ろうと思えます」

また、多くの病院を受診した経験から、医療者への感謝も強く感じていると語ります。

「医療者の方々はいつも最善を尽くしてくださり、治療中の困りごとはすぐに解決しようとしてくださいます。近しい人には話せない葛藤を聞いてくださることでも、たくさん支えていただいています。本当に感謝です」

さらにYouTubeを始めてからは、視聴者の方々のコメントにたくさん力をもらっているそうです。

「コメントを読むと、自然にマイナスなことを考えなくなり、身体の内側からパワーが湧き出てきて、とても力が湧いてきます。頑張ってきて良かったとも思えますし、また治療も発信も頑張ろうと思えます。皆様の応援に心から感謝です」

病気で人生が変わってしまう人が減るように

この動画の公開後には、「うーたんの動画を観ると、頑張ろうと思えるよ」「日々をもっと大切に生きようと思えた」「健康に生きられていることが、こんなにも大切で感謝しなきゃいけないことだったということを思い出しました」「自分の生きる意味や、やりたいことを改めて考えるきっかけになりました」という声が届くように。中には、「〇〇が痛かったのを何年も誤魔化してしまっていたから、病院に行ってみようと思えたよ。この動画を観て病院を予約したよ」と、実際に行動に移した報告のコメントもあったのだとか。

「誰かの行動のきっかけになれたことが、本当にうれしいです。身体の違和感が続いた時に、自分なりに調べて勝手に納得して誤魔化してしまわず、病院を受診してほしいです。そして、一度病院にかかったからと安心しすぎず、もし違和感が続くのであれば、それらが改善するまでは色々な病院を受診してみてほしいです。稀な病気を見つけることは難しいかもしれませんが、できるだけ早期発見し、私のように病気で大きく人生が変わってしまう人が一人でも減ってほしいと思います」

うーたんさんの治療は現在も続いています。

「なかなか厳しい道のりですが、絶対に諦めず、できる治療はすべてやり、どうにか寛解させたいです。

小さな夢ですが、まずはYouTubeで、もっと闘病中の工夫や気持ちについて発信していきたい。美味しいものを食べたり、旅行に行ったり。英語ももっとできるようになりたいです。

また大きな夢はたくさんあるんですが、例えば頭頸部癌に関するウェブサイトを作ったり、自分の闘病生活を活かした人のためになる仕事をしたり、結婚して子育てをしたりしたいです」

最後に、うーたんさんから自身と同じように病と闘っている人へのメッセージをもらいました。

「さまざまな将来への不安や恐怖、症状・副作用の辛さなどが日々代わる代わる襲ってきて、心身ともに本当に大変だと思いますが、一緒に頑張りましょう。そして、辛い日々の中でも、日々少しでも小さな幸せを見つけて過ごせますように。皆さんの病気が少しでも楽になり、良い方向にどんどん向かっていきますように」

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