まさかと思ってベンチにスマートフォン(スマホ)を置いたら本当に充電が始まって衝撃を受けている―。そんな言葉とともに、SNSに投稿された写真が注目を集めている。一見すると、普通のベンチ。しかし、茶色の座面に黒いラインがあり、端っこには雷のマークが付いている。製造会社に話を聞くと…。
注目を集めたきっかけは、あるXユーザーが東京都調布市の鉄道敷地遊歩道に設置されていたベンチに遭遇したことだった。雷マークの上にスマホを置いてみると、自動的に充電されて驚いたという。Xに経緯を投稿すると、「魔法みたい」「めちゃくちゃ便利」と話題に。手掛けたのは、遊具など屋外用品を製造・販売するメーカー「コトブキ」(東京都港区)だと特定された。
電力供給がストップした災害時も想定
同社によると、ベンチには、太陽光パネルによる蓄電機能と、充電ケーブルがなくてもスマホを充電できる「非接触充電」機能を搭載。昨年10月に「エフライン Charge#」として、販売を始めたという。背もたれなしは1台30万円前後、背もたれありは同35万円前後となっている。
「IT技術の進化により、行動・生活スタイルが大きく変わり、外出時でも室内環境と同様の便利さを求める傾向が強くなっています。弊社では、屋外で過ごす時間を快適にすることに取り組んでいます」と広報担当者。電力供給がストップした際など、災害時のライフライン提供にも重きを置いており、その一つとして充電できるベンチを開発した。
ベンチで一度に充電できるのは1台で、iPhoneやAndroidといったワイヤレス充電が可能な機種。ベンチのバッテリーが満充電の場合、スマホ4台程度の充電を0%から100%にできるという。スマホカバーが付いていても充電可能だが、形状によってはできないことも。一般的な充電器と変わらず、標準的な速度となっている。
今年12月時点で、全国に約30台が設置されているという。同社は「スマホのバッテリー残量を気にせず外出できることは、これからの街の安心に繋がると考えています。ベンチに座るという日常行為の中で、自然に電源にアクセスできる環境を整えていきたいです」とした。