清水クーちゃんは、まだ目も開いていない、産まれて間もない子猫だったが、道の駅で車の下に捨てられていた。あわや、車にひかれてもおかしくない状況だったが、保護されて、猫好きの里親さんのところに行った。
車の下に捨てられていた子猫
広島県に住む清水さんの友人は、ドライブに行き、道の駅で食事をして帰ろうとしていた。駐車場のどこかで子猫の鳴き声がしたので、あたりを見回したが子猫はいなかった。しかし、車の下から声がすることに気づき、のぞいてみると、タイヤの前に小箱が置かれていて、そこに子猫が入れられていた。気付かずに発進したら、ひいてしまうところだったという。
スマートフォンで撮影した写真が清水さんのところに送られてきて、「誰か飼ってくれる人はいないか」と相談された。清水さんは、そう簡単に里親が見つからないことを知っていたので、その猫を迎えることにした。
「最後に迎えた黒猫のジジも1歳になっていたので、もう1匹飼ってもいい。里親さんを探すのも大変だし、僕が引き取ろうと思ったんです」
小さかったが、まるで子熊のようにコロコロしていたので、クマにちなんでクーちゃんという名前にした。
産まれたばかりの子猫を飼育
クーちゃんは、まだ小さくて、生後1週間くらいだった。すぐに動物病院に連れて行ったが、獣医さんは、「あまりにも小さくて、生きられるかどうか分かりません」と言った。清水さんは、クーちゃんで7匹目の猫を家族にしたが、産まれて間もない子猫を育てるのは初めてだったので、動物病院で育て方を教えてもらった。
「普通はお母さん猫がお尻をなめて刺激してあげると排泄ができるのですが、クーの場合、お母さんの代わりに僕が濡れたティッシュで刺激したんです。離乳食を食べられるようになるまでは猫用の粉ミルクを猫専用の哺乳瓶で24時間、2~3時間おきに与えました」
清水さんは、奥さんが重症の猫アレルギーなので、実家でもあり自営業の事務所でもあるところで猫たちを飼っている。クーちゃんを育てている間は、事務所に寝泊まりして、帰宅するのは食事をする時だけだった。
「友人が車の下にいることに気づかなければ、車にひかれて亡くなっていた命です。せっかく助かったので、なんとか生かしてあげたいと思いました」
無事ミルクを卒業
仕事をしながらクーちゃんを育てるのは大変だったが、「それでもなんとかしないとこの子は死んでしまう」と思った清水さん。困ったことがあると、その都度獣医さんに相談した。
成長するととともに、ミルクの時間も4~5時間おきになってきて、やがて離乳食を食べられるまでになった。真菌に感染していたので、治療を終えて、他の猫と対面させるまで1カ月くらいかかった。
真菌が治って他の猫たちと対面してからは、清水家に昔からいるシロちゃんがお母さんの代わりをしてくれた。シロちゃんは、どの子猫にも優しく接してくれて、シロちゃんの姿を見て、他の猫も新しい猫を受け入れた。若い猫が遊び相手になってくれるので、猫が7匹になっても、安心して見ていられた。
クーちゃんは、大人猫になったいまでも体重は3kgしかなく、まるで子猫のよう。性格も子猫のようで、清水さんにじゃれてくる。