「猫はいらないか?」バケツに入れた子猫5匹を捨てた男性 懸命の捜索&保護

渡辺 陽 渡辺 陽

子どもたちが公園で遊んでいたら、中年男性が近づいてきて、「猫はいらないか?」と言った。「飼わない」と言うと、男性は、まるでゴミでも捨てるように土手に子猫たちを捨てた。子どもから事情を聞いたあゆみさんは、急いでかけつけ子猫たちを拾い集めた。

 

バケツから無造作に捨てられた子猫たち

2011年4月、神奈川県に住むあゆみさんの息子さんは、友達と公園で遊んでいた。すると、公園の清掃をしているような男性が「猫はいらないか」と声をかけてきたという。子どもたちは「えっ!」と声にならない声を出し、男性が持っていたバケツに目をやると中には数匹の、生まれたばかりのような子猫が入っていた。「僕たち、飼いません」と言うと、男性は公園の向かいのゴルフ場の土手に、バケツを逆さまにして子猫たちを捨てた。

すぐにあゆみさんの息子さんが、近くの実家の会社に出勤していたあゆみさんのところに来て、泣きながらいきさつを伝えた。

あゆみさんは現場にかけつけ、子猫たちを捜索。土手に転がっていた5匹の子猫を集めた。残念ながらすでに1匹は息絶えていたため、公園の桜の木の下に埋めた。みんなまだへその緒がついていた。あゆみさんは周囲に母猫がいないか探したが、見つからなかった。4月になったばかりでまだ寒く、とりあえず4匹とも自宅に連れ帰ったという。

母猫の代わりに子猫たちを育てる

あゆみさんは、3時間おきにミルクを与え、夜中も起きて授乳した。しかし、最初はまったく飲んでくれなかったので、スポイトで与えたり、ティッシュをミルクでしめらせて口に含ませようとしたりした。市販の哺乳瓶も試したがだめだった。獣医師に相談したら、夜店などで売っている、人形ごっこをするセットについている小さな哺乳瓶をくれた。その先端に鍼で穴を開けて飲ませるといいと言われ試したが、本当に子猫たちはミルクを飲んでくれた。

みんな70gしか体重がなかったが、獣医師は「100gあれば生きられる、100gを目標にがんばってください」とアドバイスされた。

あゆみさんは、お母さん猫がいたらするであろう排泄に手を貸したり、寒くないようにペットボトルにお湯を入れた湯たんぽを作って温めたりした。「温めすぎてのぼせたようになり、病院に連れて行き、保温をやめたら元気になったこともありました。過保護にし過ぎたんですね」と振り返る。残念ながら、一番小さかった子猫は息絶えた。

姉妹は、うちの子に

さて、今度は里親探しが始まった。知り合いに声をかけたところ、子猫のうちオスが欲しいという人に譲渡した。すでにオスを飼っているので、相性を考えた結果だという。

残る2匹はメスだった。後に春ちゃんと名付けた三毛猫を欲しいという人が現れたが、もらってくれるなら寂しくないように姉妹でもらってほしいとお願いした。しかし、どうしても三毛猫しかいらないと言われた。あゆみさんは、2匹の猫に情が移っていたし、譲渡したくなくなって、自分で飼うことにした。

三毛猫を春ちゃん、さび猫をボミちゃんと名付けた。先住猫のぐらちゃんが、ある日突然ボミちゃんを攻撃するようになり、攻撃されて逃げるとボミちゃんがてんかんの発作を起こすため、ボミちゃんは、他の猫とは生活圏を共有していない。ただ、ぐらちゃんの姉妹のぐりちゃんとは追いかけっこをすることもあり、ひとりで寂しいという感じではないという。あゆみさんは、それぞれの性格に合わせて、ストレスなく暮らせるよう配慮し、4匹の猫と暮らしている。

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