寒い冬の朝に降りた一面の霜のような、美しい模様。昭和初期まで盛んにつくられ、日本のアンティークガラスの代名詞ともいえる「結霜ガラス」を再現したグラスが人気を集めています。制作しているのは東京・江東区の若手ガラス工芸作家、可夜(@ice_crack)さん。スカイブルーや瑠璃色と白い結霜模様を組み合わせたその作品には「空が広がって宇宙に続いているよう」などと称賛の声が相次いでいます。早速、お話を聞いてみました。
結霜ガラスは、元は西洋でステンドグラス用に作られ、日本では主に明治から昭和初期にかけ窓ガラスや飾り棚用などに盛んに生産された装飾グラス。自然現象を利用するので一つとして同じ模様がないのも魅力ですが、工賃の高騰などで次第に作られなくなり、製法も途絶えつつあるといわれます。
可夜さんがガラス作りを始めたのは、今から10年ほど前、20歳の頃でした。「あやふやな将来絵図より手に職を付けたい」と職人を志したとき、ふと幼い頃にアメリカ旅行で見た吹きガラスが頭に浮かんだといいます。
近くの体験工房に通いながら技術を学ぶ中で、結霜ガラスについても知ったものの、再現には高い壁が。「作り方としては、ガラスを砂で削った部分に古くからある膠(にかわ)を用いて乾燥させる―といったシンプルなものですが、具体的な製法については資料も何もなく、色々な条件で何度も試すしかありませんでした」と振り返ります。